2023年最新情報
2023年は従前通り、以下の日程で斎行されます。合掌。
前祭 | |
10日 | 長刀鉾 |
函谷鉾 | |
鶏鉾 | |
菊水鉾 | |
月鉾 | |
11日 | 船鉾 |
放下鉾 | |
岩戸山 | |
12日 | 保昌山 |
伯牙山 | |
13日 | 芦刈山 |
占出山 | |
山伏山 | |
霰天神山 | |
郭巨山 | |
油天神山 | |
木賊山 | |
太子山 | |
白楽天山 | |
綾傘鉾 | |
蟷螂山 | |
14日 | 孟宗山 |
四条傘鉾 | |
後祭 | |
18日 | 南観音山 |
四条大船鉾 | |
鷹山 | |
19日 | 鯉山 |
黒主山 | |
北観音山 | |
20日 | 役行者山 |
鈴鹿山 | |
八幡山 | |
浄妙山 | |
21日 | 橋弁慶山 |
鉾建の様子
山鉾巡行には、鉾、曳山(ひきやま)、舁山(かきやま)、屋台が参加しますが、今回は、鉾の組立について解説します。
区別については以下を参照してくれ。
鉾とは、長刀鉾などでおなじみの車輪がついた家のような形をしたものです。今回は月鉾を中心に、鉾の組立を順を追って見ていきましょう。ただし、写真の撮りやすさから、他の鉾の写真も適宜用います。
上の写真が月鉾です。ご覧のように屋根の上に長い木(真木。しんぎ)が乗っています。これをどうやって屋根に乗せるのか(後述しますが、屋根に乗っているのではありません)が気になる所かと思います。それでは早速見ていきましょう。
鉾の部品はどこにしまってあるのか
鉾はすべて分解できるようになっています。普段は会所や付近の倉庫、もしくは円山公園にある倉庫の中に保管されています。
櫓の組立
まずはやぐらと呼ばれる、中心部分を組立行きます。ここは山鉾の基本的なところで、鉾、曳山、舁山、屋台ともほぼ同じ構造です。又、鉾にあっても、それぞれの鉾で組み方は区々です。
すべて縄とくさびでとめていきます。ゆえに、毎年組み立てたり、分解したりが容易にできるわけです。櫓を組立終わると、いよいよ真木を取り付けるわけですが、クレーンなどで持ち上げてつけるわけではなく、この櫓をいったん横倒しにして、櫓の下部に差し込みます。真木は屋根の上に乗っているわけではなく、下まで貫通しています。
真木たて
櫓を倒す
実は、鉾が建つ場所には、地面に穴が開いています。もちろん普段は蓋がしてあります。ここに写真のように木を差し込み、くさびで固定します。
いきなり横倒しの図になりますが、わかりやすいのでこの写真で説明します。
矢印で示しているのが、地面の穴に差し込んだ木です。これを丸太に括り付け、さらに丸太を櫓に括り付けます。丸太が軸になっています。
次にどうやって櫓を倒すかを解説します。まず、櫓に長い棒をつけます。ここにベルトをかけて、ウインチで引っ張って倒します。上の写真ですと、左側に向かって倒します。
岩戸山は気合と根性で倒すらしいぜ。
これが倒し終わった状態です。このベルトをかける木は真木を立て終わった後、外されます。
真木も複数に分解できますが、これも縄を使って組み立てます。
真木には天王台と呼ばれる台がついています。この上に後ほどご紹介いたします、天王人形という御神体が乗せられます。この天王台から上は竹でできていて、先端に鉾頭と呼ばれる飾りがつきます。月鉾の場合、月がついています。この竹の部分がしなり、ゆらゆら揺れて、風流をかんじさせます。真木は、疫病の原因たる疫神を宿らせるために、ついています。なぜ、疫病を宿らせるのかは、最後に御紹介します、祇園祭の記事をご覧ください。
写真で地面と平行になっているのが真木、人が持っている細い棒を禿柱(かむろばしら)と言います。この禿柱は下は櫓にくくりつけてある、ひうちとよばれる枠につながっています。
鉾の構造
ここで、鉾の構造をみてましょう。骨組みの状態にするとこうなります。写真は月鉾ではなく菊水鉾のものです。赤い線が禿柱、オレンジが屋根になります。
禿柱はひうちとよばれる場所にくくりつけてあります。ひうちは人が乗るところ(舞台といいます)の床の下にぺけ印のように交叉しています。ひうちは床には固定されずに、代わりにやぐらに固定されています。同様に、床もやぐらに固定されています。真木、禿柱は舞台に明けた穴の中を通っています。
鉾が動く時、真木と禿柱が鉾の運動と逆方向に動き、バランスをとっているので倒れずに済んでいます。(ただし、長い歴史のなかでは何回も倒れています。)これも縄で固定されているのでなせる業です。これが縄でなく、例えば溶接などで固定されていたら恐らく、簡単に倒れるのではないでしょうか。
真木を挿す
次に、真木を櫓に固定します。穴に差し込み、その後、くさびで止めます。
榊やしゃぐまをつける
榊も縄で括り付けます。この後、榊に御幣をつけていきます。
同時に、赤熊(しゃぐま)とよばれるこぶのようなものも取り付けます。
仕上げに鉾頭と天王人形をお乗せする
先ほどご紹介しました、天王台の上に天王人形をお乗せします。それぞれの鉾には天王人形がお乗りになっていますが、月鉾の場合、月読尊(つくよみのみこと/つきよみのみこと)がお乗りになっています。月読尊は八坂神社の御祭神、素戔嗚尊の兄神にあたります。
御神体ですので、見下ろすことはできません。ゆえに、布に包まれています。布に紐がついていて、真木と建てるときにこの紐を下で人がもっています。真木がある程度の高さまで行くと、布がさらりと外れる仕掛けになっています。詳細は後程ご紹介します、ビデオでご確認下さい。
真木を立てる
再び、ベルトをウインチでひっぱり、櫓をもとの位置にもどします。
一連の様子はビデオでご確認ください。
曳山の真松は人力でいくぜ
舞台と屋根をつける
次に舞台と屋根を組み立てます。ただし、菊水鉾のように先に車輪を付ける鉾もあります。
写真は鶏鉾の様子ですが、個々の部品ははめ込み式になっています。
車輪をつける
次に石持(いしもち)と呼ばれる部品を櫓の下につけます。二本あり、これに車軸を乗せます。非常に重い部品で、鉾の安定に寄与しています。
ここから先は菊水鉾で説明します(写真が撮りやすかったため)。ジャッキで車軸ごと鉾を持ちあげます。軸には(恐らく)モリブデングリスが塗布してあります。
月鉾や北観音山はサラダ油だったよ。
車輪は人が持ち上げて、横から棒(矢印)を挟んで押し込んで行きます。車輪を入れ終わったら、かんぬきをかけて、外れないようにします。
懸装品をつける
最後に懸装品と駒形提灯をつけて完成になります。雨に備えてナイロンのシートが掛けられています。
ただし、四隅に着ける御幣や稚児人形(於菟丸[おとまる]という名前がついています。)は巡行当日に乗せます。
月鉾の場合、10日から組立はじめ、12日には曳初めが行われます。鉾は17日の巡行終了後、直ちに解体されます。よく考えてみると、鉾が建っているのは一年の内わずか6日ほど、完全な姿でいるのは4、5時間程度です。
祇園祭について
祇園祭の趣旨、日程など、または、本投稿中に生じた疑義などは、以下のリンクよりご確認ください。宇宙一詳しい解説となっております。