概観
- 曼荼羅とは、密教の教えを絵などで表現したものである。東寺の講堂内の立体曼荼羅はこれを仏像で表現している。
- 立体曼荼羅は羯磨曼荼羅(かつままんだら)ともよばれ、五智如来像(如来部)、五菩薩像(菩薩部)、五大明王像(明王部)、並びに天部から構成される。
- 本投稿に使われている仏像の写真はすべて絵葉書を、曼荼羅は下敷きを撮影したものである。講堂内は撮影厳禁である
2021年秋季特別公開
- 日程 2022年10月29日(土)~12月11日(日)
- 時間 8:00~17:00 (16:30最終受付)
- 夜間徘徊 18:00~21:30 (21:00最終受付)
今回の特別公開公開では、久しぶりに須弥壇の裏側(北側)に入ることができます。
五重塔の初層も公開だ。行くしかねーべどう考えてもよー
ライトアップ時にも公開されるよ
立体曼荼羅/羯磨曼荼羅(かつままんだら)
立体曼荼羅の構成
立体曼荼羅/羯磨曼荼羅とは、曼荼羅を絵や文字などではなく、像などで表現したものです。東寺の立体曼荼羅は21尊の仏像により構成されます。鎮護国家、天下泰平を説く『仁王経』から、五菩薩、五明王、五方天を、『金剛頂経』から五如来を選別したといわれます。
立体曼荼羅は講堂内に安置され、如来部、菩薩部、明王部、並びに天部の四つに分類されます。9世紀に作成されました。1486年の文明の土一揆で講堂が炎に包まれたとき、僧侶が堂内の仏像を運びだしましたが、後述いたします、五智如来像5体、並びに金剛波羅蜜菩薩は運び出すことができず、焼失してしまいました。
如来部、菩薩部、明王部は須弥壇上に安置され、天部は須弥壇上の仏を仏敵から守ります。
1965年に一般公開されるまで、約1000年にわたり秘仏とされていました。
とりあえず売店で絵葉書と下敷き買って、自宅で立体曼荼羅かましとけばこっちのもんだべ
三輪身
如来部の中心には大日如来です。他方、菩薩部の中心は金剛波羅蜜多菩薩、明王部の中心は不動明王となっています。金剛波羅蜜多菩薩、不動明王は大日如来が姿を変えて顕出したものとされます。これを三輪身と呼びます。
五智如来像(如来部)
概説
大日如来を中心に、阿弥陀如来像、宝生如来像、不空成就如来像、阿閦如来(あしゅくにょらい)像が配されます。いずれも重要文化財です。如来は真理を表します。真理に目覚めている者は心身を飾る必要がないので、衲衣(のうえ)というシンプルな布を纏ってます。
全部で5体の仏像から構成され、五智如来と呼ばれます。これは、宇宙は地・水・火・風・空の五要素からなるとする古代インドの考えに基づきます。
東寺の五重塔も同様に、立体曼荼羅同様に、五智如来が祀られています。ただし、大日如来の像はなく、心柱を大日如来に見立てています。
大日如来像(中心)
サンスクリット語のMahavairocanaを音写したもので、魔訶毘盧遮那仏とよばれ、密教で、宇宙の真理、若しくは宇宙そのものを体現します。曼荼羅に於いては、金剛界曼荼羅での主尊としては、智拳印を、胎蔵界曼荼羅の主尊としては法界定印を結びます。
立体曼荼羅の大日如来像は智拳印という印相を結んでいますので、金剛界曼荼羅の大日如来像を表しています。15世紀の土一揆により、焼失したため、室町時代に再興されたものです。
真言:オンバザラダトバン
阿弥陀如来像(前列左)
サンスクリット語で「量り知れない光、若しくは寿命をもつもの」という意味で無量寿仏と呼ばれることもあります。西方の極楽浄土を統べ、「南無阿弥陀仏」と唱えたすべての人を極楽浄土へと導きます。往生するときに迎えに来てくれます。平等院鳳凰堂の本尊や永観堂の振り返っている仏像も阿弥陀如来像です。
真言:オンアミリタテイゼイカラウン
宝生如来像(前列右)
宝から生まれたもの、という意味で、全ての事物を平等に扱うという「平等性智」を表します。
真言:オン アラタンノウサンバンバタラク
不空成就如来像(後列左)
「不空」とは「空しくない」、すなわち満ち足りていることを示します。何者にもとらわれずに実践するという「成所作智」を表します。
真言:オン アボキャシッデイアク
阿閦如来像(後列右)
「ゆるぎないもの」を意味し、大日如来の清らかな心を意味する「大円鏡智」を表します。悟りが金剛のように固いことを意味します。
真言:オン アキシュビヤウン
五菩薩像(菩薩部)
概説
金剛波羅蜜菩薩を中心に、金剛波羅蜜菩薩、金剛法菩薩、金剛宝菩薩、金剛業菩薩、金剛薩埵菩薩像が配されます。839年いずれも国宝です。菩薩とは悟りを求めながら。如来の慈悲を以て衆生を悟りに導くものです。人間を導くので、人と似たような服装をしています。将来は如来になります。いずれも『仁王経』に登場します。「金剛」とは硬いという意味です。
金剛波羅蜜菩薩(中心)
金剛波羅蜜菩薩は智慧で人間を仏道に導きます。2019年6月より修理のため美術院 国宝修理所におられました。
真言:オンサッタババジリウン
美術院ってえのは、簡単に言うと、岡倉天心が創設した日本美術院っつー組織の国宝修理部門が分離したところで、国宝の修理をしてるところだ。
今は金閣寺の工事のときみたいに、大きな写真パネルが置いてあったよ。
金剛法菩薩(前列左)
迷いにある人を悟りに導きます。
真言:オン バザラタ ラマキリク
金剛宝菩薩(前列右)
宝生如来が菩薩の姿に変わったもので、慈悲の心で福徳をもたらします。
真言:オン バザラアラタンノウ オン
金剛業菩薩(後列左)
人から迷いを取り除きます。
真言:オン バザラキャラマ ケン
金剛薩埵菩薩像(後列右)
「こんごうさったぼさつ」と読みます。人間の煩悩を打ち砕きます。
真言:オン バザラサトバ アク
五大明王像(明王部)
概説
不動明王を中心に、軍荼利明王、隆三世明王、大威徳明王、金剛夜叉明王により構成されます。明王というのは密教独自の尊格で、如来の化身を意味します。煩悩を打ち砕き、迷いの世界から導いてくれます。
不動明王像(中心)
大日如来の化身で、その内心を表します。怒っているような容貌は、いかなる困難をも退け、強制的に仏道に導こうとする決意を表しています。背後の炎は「迦楼羅炎(かるらえん)」と呼ばれます。これは迦楼羅天という煩悩を食べる仏を意味します。
真言:ノウマク サンマンダ バザラダン カン
軍荼利明王像(前列左)
宝生如来の化身です。「ぐんだりみょうおう」と読みます。八本の腕で夜叉などの外敵から人を守ります。南方を守ります。
真言:アン アミリテイ ウン ハッタ
隆三世明王(前列右)
阿閦如来の化身です。大日如来の命を受け、三つの世界、すなわち、過去、現在、未来の煩悩を退治します。足のしたにいるのは大自在天とその妃烏摩(うまー)です。東方を守ります。
真言:オン ソンバニソンバ ウンバザラウンハッタ
大威徳明王(後列左)
阿弥陀如来、若しくは文殊菩薩の化身で、水牛に乗っていて六面六臂六脚の姿をしています。六脚の仏は大威徳明王のみです。西方を守ります。
真言:オン シュチリキャラ ロハウンケン ソハカ
金剛夜叉明王(後列右)
不空成就如来の化身とされ、全ての悪を食べ尽くします。北方を守ります。
真言:オンバザラヤキシャ ウン
天部
概説
天部とは六道の最上部に位置する天部に住む者の総称です。インド古来の神々が仏教に取り入れられたのち、仏教の守護神となったものです。立体曼荼羅では四隅を四天王たる増長天、持国天、広目天、多聞天、東西を梵天、帝釈天がそれぞれ守ります。四天王は須弥山の中腹にすみ、四方を守護します。
増長天
「ぞうじょうてん」と読みます。四天王の中で南方を守護します。
真言:オンビロダキャヤキシャヂハタエイ ソワカ
持国天
東方を守護します。
真言:オンチレイタラ シュタラララハラマダノウ ソワカ
広目天
西方を守護します。
真言:オンビロハキシャ ノウギャ ヂハタエイ ソワカ
多聞天
単独で安置されるときは、毘沙門天と呼ばれます。軍神で北方を守護します。
真言:ノンバ イシラマンダヤ ソワカ
帝釈天
釈迦の成道をたすけた守護神です。須弥壇上に安置されます。
真言:ノウマクサマンダボダナン インダラヤ ソワカ
梵天
釈迦が悟りを開いたとき、帝釈天とともに、これを人々に広めるように諭しました。須弥壇上に安置されます。
真言:ノウマクサマンダボダナン ボラカンマネイ ソワカ
曼荼羅とは?
曼荼羅の意味
曼荼羅(まんだら)とは、密教の経典に則り、諸仏諸尊を絵や記号であらわしたもので、サンスクリット語の音に漢字をあてたものです。「まんだ」とは本質という意味であり、「ら」は有するという意味となります。たくさんの種類がありますが、空海により日本にもたらされたのは「大曼荼羅(だいまんだら)」、「法曼荼羅(ほうまんだら)」、並びに「三昧耶曼荼羅(さんまやまんだら)」の三種です。
清水寺参詣曼荼羅みたいに「曼荼羅」という名称が形式的に付されている昔のガイドブックもあるよ
。
曼荼羅の種類
大曼荼羅
大曼荼羅とは、諸仏諸尊が絵で表現されたもので、「曼荼羅」といった時に多くの人が想起するものです。
法曼荼羅
法界曼荼羅とは、諸仏諸尊が絵ではなく、梵字で表現されたものです。
三昧耶曼荼羅
三昧耶曼荼羅とは、諸仏諸尊が絵でもなく、梵字でもなく、金剛杵などの諸仏諸尊が持っているもの、若しくは結んでいる印相で表現されたものです。
両界曼荼羅
両界曼荼羅の構成
上記三種の曼荼羅はいずれも、「胎蔵界曼荼羅」、「金剛界曼荼羅」の二つにより構成されます。そして、この二者を合わせて、「両界曼荼羅」と呼びます。いずれも大日如来を中心に構成され、万物が大日如来の分身であることを表します。
胎蔵界曼荼羅
密教の根本経典、『大日経』が表現されています。中心に宇宙の中心たる大日如来が置かれ、周囲に414尊が配され、真理が流布する様子が表現されます。
金剛界曼荼羅
密教の根本経典、『金剛頂経』が表現されています。全体が九会と呼ばれる九つの区域に分けられ、1461尊が配され、悟りを実践する過程が示唆されます。
東寺基本情報
東寺へのアクセス
市バス: 東寺東門前、若しくは東寺道バス停
JR西日本: 京都駅
近鉄: 東寺駅