概説
2024年新しい大黒さんがいます。
清水寺に行かれたことのある方は、轟門をくぐって本殿に向かうと、黒い大黒さんがいらっしゃるのを覚えておいでかと思います。本日はこの大黒さん(出世大黒天)の由来、ご利益などについてご紹介します。
総合ガイドは以下をご覧下さい。
英語版もあるよ
大黒天とは?
大黒天とは、所謂七福神の内の一柱で、福徳・財運などをつかさどります。「天」とあるように、所謂天部(仏法を守護する諸尊)に属します。ヒンズー教のシヴァ神の化身、マハーカーラが仏教に取り入れられたものです。マハーカーラとは、大(マハー)黒(カーラ)という意味で、これがそのまま日本語になり、「大黒天」とよばれます。音が似ていることなどから、大国主神と習合しました。習合については以下をご参照ください。
元来は、破壊と創造の神であり、我々がよく知る柔和な表情とは異なり、忿怒の相をされています。その後、仏教の守護神となり、破壊と創造という特質から、戦闘と生産をつかさどる神とされ、そこから、財福・豊穣の神とされ、やがて厨房の守護神とされるようになりました(写真は雲龍院の大黒天像ですが、実際に台所に祀られています。)。その後、戦闘や破壊の側面は消えて、財福・豊穣の側面が残り、現在、我々がよく知るようなお姿になられます。
大黒さんのさらに詳細な解説をご希望の方は以下のリンクをご参照ください。
出世大黒天のご利益
財運
先述の通り、財福の神とされました。大黒さんが持っている打ち出の小槌からは、ひと振りするだけで、財宝など、思い通りのものが出てきます。また、背中に背負っている袋には、七宝が入っています。七宝とは、『法華経』では金、銀、瑪瑙、瑠璃(はり。水晶のこと)、硨磲(しゃこ。シャコガイの貝殻のこと)、真珠、玫瑰(赤い玉)を意味します。簡単に言うと、たからもののことです。
八坂神社の祇園えべっさんの折には、大国社にお参りした際、打ち出の小槌を振ってもらえます。また、清水寺の境内にある、地主神社では、自らふることができます。
五穀豊穣
なんでも出てくる打ち出の小槌から、食糧に困らない、五穀豊穣などの意味が出てきます。大黒さんはよく米俵にのってますね。
出世・商売繁盛
財運、五穀豊穣などが拡張解釈され、出世や商売繁盛といった意味がでてきます。
縁結び
大国主命と習合しているため、縁結びのご利益があります。大国主命が因幡の白兎を助けた際の逸話に基づきます。詳しく知りたい方は、八坂神社恋愛編をどうぞ。
開運
上記を総合し、抽象的に開運全般にご利益があります。
由来:500年前から参拝者をお出迎え
我々が清水寺に参拝すると、ちょうど出迎えてくれるような場所にいらっしゃいますが、昔は清水寺の外で参拝者を出迎えてくれていました。
清水寺の出世大黒天像は室町時代に作られたものです。16世紀中ばに描かれた、『清水寺参詣曼荼羅』という、清水寺の付近を解説した絵があります。これによると、当時、清水寺を参詣する洛中からのメインルートは、五条通(現在の松原通)を通り、六波羅蜜寺・八坂の塔を経て、産寧坂を通り、清水寺の門前にでるというものでした。もちろん、今日とは松原通の位置は若干異なります。
そして、当時の鴨川には中の島があり、出世大黒天はそこに建てられたお堂に祀られていました。中の島の向こう側には、木戸が建てられ、聖と俗の境界のようになっていて、参拝する人は、中の島で最初に大黒さんを拝み、それから、聖なる世界に向かっていきました。
詳細は以下のリンクをご参照ください。
このように、清水寺の大黒さんは500年ほど前から、清水寺の参拝者をでむかえていました。
以前はお賽銭が当たったり、触られてたりした結果、塗装がはがれていましたが、現在はご覧のようにつやつやなお姿です。以前は金網で保護されていましたが、現在はありません。
大黒天お守り
現在は、大黒天のお守りはもちろんのこと、ぷにぷにする人形の根付、並びに人形が授与されています。お守りは他のところでも目にしますが、ぷにぷに人形は他ではおそらく入手できません。根付は350円、大きな人形は900円です。蒔絵風のシールのお守りもあります。
清水寺の基本情報
清水寺へのアクセス
市バス四条河原町、京阪祇園四条駅・阪急河原町駅で下車し、徒歩で清水寺へ。徒歩約30分。最寄りバス停は五条坂、若しくは清水道バス停ですが、当サイトでは混雑するので推奨しません。詳細は以下のリンクをご参照ください。