龍穴とは?
龍穴とは”風水”に於いて気が集まる場所を指します。
いきなり注ですまねえ。ダブルコーテーションかましといたのはよー、今日でいうところの風水とはちと違うからなのよ。風水は7世紀頃に日本に入ってきた頃は「地理」とか「堪與(かんよ。天地のこと)」とか呼ばれて地を相ることに主眼があったのよ。相るっつーのは判断するみてーな意味だ。
で、この風水っつーのは陰陽五行説に則ってんのよ。陰陽っつーのは万物を陰と陽の二元論で把握する考え方で、五行っつーのは木日土金水という五つの作用により森羅万象を解説する考え方よ。
さらにこれらの前提には気という考え方があんのよ。ここでは気という力が顕在化したものが世界を構成する天とか地であるとされんのよ。
龍穴の顕著な例が平安京です。平安京は四神相応の要件を具備していたとされますが、遷都当時は山に囲まれていることを意味していました。
四神とは、天の赤道上に古代中国の星座たる二十八宿を配し、それらを東西南北の四つの方角で分けたものを天を守護する神獣に擬制したものです。
気というのは水のようなもので、流れるものであり、この流れを気脈とよびます。この気脈が流れおちてしばらく留まる場所を明堂といいます。
平安京では天からの気が周囲の山を経て流れ込んできて、中心の相対的にみて窪んでいる明堂に平安京が造営されました。
真実性が担保されていない表現物では平安京の造営は四神相応の東の青龍は鴨川・・に則り云々とあるけど、四神と鴨川などの対応は12世紀の『作庭記』という庭の作り方の本に最初にでてくるもので、遷都当時は対応関係はないよ。以下、参照してね。
方位 | 聖獣 | 遷都時 | 『作庭記』 |
東 | 青龍 | 北山 | 鴨川 |
南 | 朱雀 | 神奈備山 | 巨椋池 |
西 | 白虎 | 西山 | 山陰道 |
北 | 玄武 | 北山 | 船岡山 |
八坂神社の龍穴伝説
八坂神社では御本殿の内々陣の下に水を貯えた穴があり、これが龍穴であり龍神さんが住むとされています。内々陣とは神様を祀る場所を意味し、広さは桁行三間梁行間(この単位についての詳細は三十三間堂の記事をご参照ください)あります。
御本殿内部に見える御幣の後ろにある扉の奥が内々陣です。
『続故事談』という説話集によると、1,070年に祇園社(神仏習合時の八坂神社の呼称)が火災に見舞われた時に深さを測ろうとしたところ、150メートル以上あって底の有無はわからなかったとあります。また、20世紀前半に屋根の張替えを行ったときに確認したところ、穴が開いていて水があったという証言があります。現在ではこの穴の上には漆喰で蓋がされています。
祇園社の創建は遅くとも10世紀と解されますところ、早い時期に龍穴の上に御本殿があったものと考えられます。
八坂神社は御本殿は神殿と拝殿が合体した祇園造とよばれる固有の構造をしてんだけど、神殿(むかしの仏堂)の位置は大きくは動いていないはずよ。1331年に描かれた「祇園社絵図」を見る限りほぼ同じ位置だべ。この絵は986年に描かれた絵が原本だから、昔からそうだったんじゃねーの?気になる人は八坂さんのサイトで確認してみてくれ。右側の真ん中らへんの赤い四角の中にある多宝塔が現在の大神宮の辺りだ。ここから位置関係を探るとわかりやすい。
以前は御旅所が二つあって、少将井御旅所では神輿を井戸の上に安置していましたところ、何か関係があるのかもしれないね。
尚、この龍穴は祇園祭の嚆矢たる御霊会が初めて修された神泉苑の池と繋がっているといわれることがありますが、この池にも同様に龍神さんが住むと伝えられます。
御本殿特別拝観
京の夏の旅2024の一環として、御本殿が公開されます。但し平生でも祈祷などの際には昇殿可能です。
- 日程・・・8/3(土)~9/30(月)
- 時間・・・10:00~16:00(15:30受付終了)但し8/7(水)・15(木)、9/1(日)・15(日)・22(日)は12:00~
- 拝観料・・・大人800円 小学生400円
8/9~8/25の期間はNAKEDのディスタンス提灯の一環として、竹製の龍が置かれ、ライトアップされます。
八坂神社へのアクセス
混雑を避けるため、市バスの利用は避け、京阪祇園四条駅、阪急京都河原町駅から徒歩でいくことをお勧めします。