今回は哲学の道をご紹介します。まだ桜の季節には遠いので、2017年の様子をご覧ください。2月半ば現在、梅の開花がやく3週間くらい遅れ気味です。桜の開花が3週間ずれ込むことはないかと思いますが、昨年に比べて遅れるかと思います。一般に京都市内のソメイヨシノは4月第一週くらいに満開になります。
2018年 哲学の道の桜のみどころ
哲学の道の桜並木は、日本画家の橋本関雪夫妻が桜の苗木を京都市に寄贈したのが始まりです。これらの桜は別名「関雪桜」と呼ばれます。他にも沿道には約500本のソメイヨシノや山桜が植えられています。
次の特徴は大島桜がとてもきれいなことです。ご覧の通り、緑色の葉と白い花がとてもきれいな桜です。これが沿道に沢山咲いていて、ソメイヨシノとの対比が綺麗です。
しかもこれらの桜がトンネルのようになっていて、間近で見ることが出来ます。散りはじめの頃は花びらが雪のように降ってきます。
沿道には桜の種類を紹介したパネルが展示されているので(確か地元の方が作成なさったもの)これと照らし合わせながら散策するのも一興です。
また、沿道にはカフェが多く、ゆっくりと桜を愛でながら一服することもできます。デートコースとしてもおすすめです。
哲学の道は桜だけでなく、もともと、季節の花が沢山咲いている場所です。春の花も楽しむことが出来ます。
哲学の道の桜 2018 開花状況
現在、全く咲いていません。昨年は3月末くらいに咲き始めました。満開は4月5日頃でした。今年も同じ塩梅になるかと考えています。咲始めましたら追記します。
哲学の道の桜2018 開花状況 3月25日
25日現在大豊神社の入口のところにある一本のみ、満開です。
ほかはまだ咲はじめです。今年は雪柳が綺麗な印象があります。
沈丁花が綺麗でした。
大豊神社ですが、現在枝垂桜と梅が満開です。昨年はこのタイミングを逃しましたので、撮影隊は大変感慨深いものがあります。ここの桜と梅は繊細な咲き方をするのが特徴です。
茶店ではみたらし団子などが売られています。ソメイヨシノはまだまだ咲いていませんでした。大豊神社のソメイヨシノは散り方も見事ですので、おすすめです。
例年、狛ねずみは椿で彩られます。ここは椿や他の花もきれいなので、おすすめですよ。
南禅寺はまだこの一本だけでした。開花はもう少し先かと思います。
哲学の道の桜2018 開花状況 3月27日
全体で5分程度でしょうか。まだまだです。
哲学の道の桜2017 開花状況
4月2日現在の開花状況
まだまだ綻びはじめです。見頃は今週半ば~末くらいを予想しています。
4月6日現在の開花状況
白川通から銀閣寺橋の付近はほぼ満開です。
大島桜がまだまだこれからです。
大豊神社はほぼ満開です。
南禅寺もほぼ満開です。
哲学の道の基本情報
哲学の道とは、もともとは琵琶湖疏水の管理用に作られた道路です。琵琶湖疏水とは、琵琶湖の水を京都市内に流し、上水道や水力発電に使うための水道です。東京への奠都に伴う人口減少や産業の衰退への危惧から明治時代に建設されました。
若王子橋を起点とし、銀閣寺橋(事実上は白川通今出川まで)までの約2キロの遊歩道です。なぜ、この管理用の道路を「哲学の道」と呼ぶかと申しますと、京都大学教授を務めた西田幾多郎(にしだきたろう)が沿道で思索にふけったことに起因します。
西田幾多郎とはしおりの回でご紹介した鈴木大拙と同郷の友人です。仏教の思想と西洋哲学を融合させようとしました。昨年、西田幾太郎が暮らした民家が解体され、市内ではちょっとしたニュースになりました。解体した建物の一部はたしか京都大学に保管される予定の筈です。
哲学の道の桜は日本画家の橋本関雪夫妻が京都市に寄贈した桜を植えたのが始まりです。銀閣寺前バス停のすぐ近くに、橋本関雪の邸宅が白沙村荘(はくさそんそう)・橋本関雪記念館として残っています。
2018年 哲学の道の桜 おすすめコース
コースの趣旨
今回ご紹介するのは、哲学の道の沿道の桜ですので、この道を歩きながらのコースを設定してみたいと思います。
まず、時間帯ですが、この時期連休があるわけではなく、週末などの時間を利用なさって、市外からお越しの方も多いかと思います。そこで、午前10時頃に京都駅に到着した場合を想定してみます。
次に、コースの趣旨ですが、のんびりと春の到来を感じて頂けるものにしたいと思います。そこで、時間には十分余裕を持ったコースを設定してみます。
10時 JR京都駅からスタート
まずはここを起点とします。この時間でしたら、新幹線でお越しの場合にも何とか対応できるかと思います。
ここで、哲学の道を南下するか北上するかという選択を迫られますが、今回は南下します。哲学の道の散策は南下か北上かの二択を迫られるわけですが、どちらがいいというわけではなく、行先により異なります。
今回は夕方の南禅寺を目指しますので、お昼くらいに白川通今出川(銀閣寺の近く)から南下していきます。
次に、白川通今出川まで(銀閣寺道バス停)の移動手段ですが、JR京都駅前のバスターミナルA2乗り場から市バス17系統を利用します。銀閣寺道バス停までにゆくには、他にも5、100系統などがありますが、いずれも混雑しますので、市バス17系統を利用します。
11時頃 銀閣寺道バス停着
バスを降りたら、右にすすんで信号を渡ったら、哲学の道の起点です。赤い線に沿ってすすんでください。そのまま銀閣寺橋を通過し、青い線沿いに銀閣寺の方に向かってすすんでいきます。ここでお昼ご飯を食べます。尚、ヤギ調査部によると、この界隈の抹茶ソフトは他の場所に比べてお値段が控えめでおいしいそうです。さらに申しますと、銀閣寺の参道をのぼりつめたところにある、世續茶屋さんのあまざけは市内で三本の指に入るそうです。茶そばがおいしいお店です。
12時 銀閣寺橋から出発
ここから約2キロほどが進みます。赤い線が哲学の道です。普段でしたら、徒歩約30程度ですが、今回は途中寄り道をするので2時間30分くらいかけて進みます。
先ほどご紹介いたしました大島桜とソメイヨシノです。こんな感じで両者がならんでいます。緑とピンク色の対比をたのしんでいただけたらと思います。他ではこの光景はなかなか見ることができません。
拡大してみます。この景色がしばらく続きます。大島桜(手前)の色合いを間近で堪能できます。
しばらくすすんで頂きますと、地図上のさかなマークの場所で鯉が集まっています。桜の花びらのなか泳ぐ鯉を眺めているのも楽しいものです。
今一つのおすすめが、この桜です。名前はわからないのですが、一つの枝に色の違う花が咲いています。どこにあるかはひみつです。ご自身で探した見てください。(簡単に見つかります。)
ここからは季節の花です。
こんな中、ベンチでゆっくりしたり、カフェでのんびり過ごしたり、花を眺めながらゆっくり南下していきます。どのカフェがいいかは人によって好みがわかれるのでなんとも言えませんが、地図上のコーヒーマークのところにあるpomme(仏語でリンゴのこと)さんがおすすめです。テラスがあり、哲学の道を眺めながらのんびりできます。
もうこの時期になると、青もみじを目にすることが出来ます。桜の後には、ツツジ、さつき、苔、青紅葉などの植物を楽しむことが出来ます。特にもみじはこの時期から見ておくと、秋の紅葉の見え方が全然違います。青もみじに関しましては、回を改めて解説したいと思います。
1時30分頃 大豊神社着
青い線の先にある神社が大豊神社です。
哲学の道を歩いていると、左側にこういう灯篭があります。ねずみの絵馬が目印です。ここをまっすぐすすんでいって、右折して少し坂を登ったところにあります。
ここには珍しい(日本ではここだけ)狛ねずみがいます。境内の大国社の前にあります。大国主命が須佐之男命の放った野火に囲まれた時にねずみが助けた神話に基づきます。大国主命が祀られているということは、縁結びのご利益があるということですね。右のねずみには無病息災、左にねずみには学業成就のご利益があるそうです。
ほかにも狛鳶や狛猿がいます。
この大豊神社はあまり有名ではないとおもいますが、桜や椿など季節の花が綺麗な穴場です。
現在は梅が咲いています。左側がしだれ桜です。3月末くらいには咲始めるかと思います。
4月6日現在で枝垂桜はほぼ満開です。梅もまだ残っています。
ここは哲学の道のすぐそばにあるにも関わらず、訪れる人も疎らです。とても静かな場所なので、おすすめです。腰掛があるのでゆっくりできます。境内には自販機とトイレもあります。
私が一番おすすめするのは、かわいいねずみさんではなく、手水舎の水です。この水は天然水なのですが、京都は自然が近くにあることが実感できます。
1時45分頃 ネコヘイヴン
地図上のネコマークです。ここは閉店した喫茶店の入口ですが、猫がいます。有志のかたが世話をなさっているようです。人に慣れているので、寄ってきます。写真撮影されているかたをよく見かけます。ネコが好きな方はここでネコと遊ぶと良いでしょう。ここから少し南に行くと哲学の道の終点です。尚、ここはネコヘイヴンという名称ではありません。私が勝手にそう呼んでいるだけです。
哲学の道から南禅寺へ
地図上の青い線に沿ってすすんでください。約10程度です。
途中の水路でこんな景色が待っています。
2時頃 南禅寺到着
南禅寺は京都五山、鎌倉五山(五山とは臨済宗の寺の格付け制度)のさらに上に位置し、臨済宗の中では最も高い格式をもちます。もともとは現在の永観堂と一緒に、後嵯峨天皇の離宮だったところです。
写真の三門は歌舞伎、楼門五三桐(さんもんごさんのきり)で石川五右衛門が「絶景かな、絶景かな。春の宵は値千両とは、小せえ、小せえ。この五右衛門の目からは、値万両、万々両」と述べるシーンで有名です。ただし、これは後世の創作で、実際に石川五右衛門の存命中にはこの三門はありませんでした。
この三門の奥にあるのが法堂です。桜や紅葉の季節にはこの周辺の水道橋が綺麗です。
そして、そのさらに奥にあるのが、方丈です。ここまで足を運ぶ人は意外にも少なく感じます。今回はこの方丈庭園か(虎の子渡しの庭)に行きます。
こちらは如心庭という方丈庭園です。
さらに奥にも庭園があります。
青もみじもあります。
ぼへ~っ
上記の庭の内、どこでも構わないので、気に入ったところに行き、「ぼへ~っ」としてください。枯山水庭園だから、己と対峙しなければならないとか、年度のはじまりだから一年の抱負について考えるとか、そんな必要は全くありません。今日みた桜や猫の事を思い出してもいいし、思い出さなくても構いません。
ただ、そこにいてください。
私はよく、手一杯で「もうあかん」と思った時、庭園に行きます。ここもそんな庭園の一つです。「ただ、そこにいる」、という状態を理解してみて下さい。すなわちêtreの状態を肯定してみてください。
Je pense, donc je suis.と申しますが、Je pense, doncの部分はいりません。je suis(suisはêtreを活用したもの)だけで問題ありません。英語にすると、 I am.です。
日本語に訳すなら、我、唯独り、尊しです。意味はご自身で考えてみて下さい。
答えがでてもいいし、出なくても構いません。ひとしきり過ごしたら、お茶席がありますので、一服した後、三門に登って春の夕暮れを楽しんでください。
南禅寺基本情報
名称 東寺/教王護国寺
住所 〒601-8473 京都府京都市左京区南禅寺福地町
電話 075-771-0365
FAX 075-771-6989
ウェブサイト 南禅寺公式ホームページ
拝観時間
12/1~2/28 8:40~16:30
3/1~11/30 8:40~17:00
拝観料 方丈庭園
一般 500円
高校生 400円
小中学生 300円
三門の拝観料は方丈庭園と同じ金額(拝観料は別々です)
所要時間 1時間~
近隣の主な観光地 平安神宮、岡崎神社、永観堂、金戒光明寺など
4時頃 蹴上駅に向け出発
グレーの線に沿って進んでください。
途中の宇宙人マークの場所からも桜を堪能できます。ここはインクラインといって、かつて疏水を通った船がこの線路の上の台車に乗って行き来したところです。帰り際に是非どうぞ。
疏水沿に動物園の方に進んでいくと、ここにも桜が咲いています。この付近に船着き場があり、4月1~9日の間、疏水の桜を船の上から楽しめます。詳細は京都市のホームページをご覧ください。
この後、市営地下鉄蹴上駅からいったん、三条方面にでて頂いて、少し早めに晩御飯をすませ、ライトアップに臨むと良いでしょう。おすすめは東寺のライトアップです。