この記事の構成
- 1ページ目 概説、みどころ(銀閣、内部、銀沙灘、向月台、東求堂、五山送り火など)
- 2ページ目 みどころ(上下段庭園など)
- 3ページ目 銀閣寺の歴史、四季など
このページのもくじはこの下にあります。
銀閣寺の歴史
足利義政
足利義政とは室町幕府8代将軍にあたる人物で、金閣寺を建立した足利義満の孫にあたります。自らが隠居するため、弟の義視を後継者としましたが、義政に実子が生まれると、将軍職を巡って対立し、守護大名を巻き込んで応仁の乱に至ります。現在銀閣寺の左隣に浄土寺というお寺がありますが、当時も同地に同名の寺院があり、義視はここに出家して門跡となっていました。
因みに「門跡」とは青蓮院門跡や曼殊院門跡に使われている「門跡」のことで、皇族が出家して住職を務める寺院、もしくはその寺院の住職を指します。宇多天皇が仁和寺に出家したのが始まりです。武家政権が成立した後、経済力が低下した公家や皇族が跡取り以外の子息を出家させ、跡取りに何かあった時には還俗といって世俗に戻し、家系が途絶えないようにしていました。義視もこのケースに当てはまります。
なぜ義政が早々と隠居したかったかと申しますと、文芸にうちこみたかったからです。義政は善阿弥(作庭家)、狩野正信や土佐光信(いずれも画家)らを援助し、自らも東山山荘を造営するなどして、茶の湯など今日の所謂「日本文化」の礎と目すべき東山文化を築いた人物です。
義政は応仁の乱の原因を作った人物として、政治的な評価は高くありません。しかし、この応仁の乱では戦火の逃れて知識人が地方の守護大名を頼り、地方へ逃げていったことで、都の文化が地方に伝播しました。また、戦火により、京都は焼け野原になってしまい、特に公家が多く住んでいた上京は大半が焼けてしまいました。御所ですら10年近く荒廃していたことからもその有様が偲ばれます。他方、庶民が住んでいた下京は戦火を逃れ、その後、貨幣経済の発達とともに経済力をつけ、後述いたしますように、文化の担い手は市民にまで広がります。
このように、政治的には残念な結果をのこした人物かもしれませんが、今日の日本文化の根底を築いた人物としては高く評価されるべき人物です。
銀閣寺と東山文化
平安時代の文化の主な担い手は貴族、武家でしたが、室町時代になりますと、留学していた禅僧などにも広がります。これに伴い三者が融合し、先述のように市民層にまで浸透ました。東山山荘(銀閣寺の前身)は金閣寺と同様に、会所として機能しました。会所とは会合などを行う建物のことで、ここで、茶会や連歌会などが行われました。金閣寺に代表される北山文化が新旧の公家の文化の融合であったのに対し、東山文化は公家、武家、禅僧など、異なる文化が融合し、わびさびや幽玄、茶道や庭園、建築などの今日の日本文化の基礎ともいうべき部分が完成されていったのが特徴です。これを象徴するかのように、銀閣寺は一階部分が書院造(平安時代の貴族の住宅様式たる寝殿造が基になっています)、二階部分が禅宗様という構造になっています。
銀閣寺と季節の花
東山(銀閣寺も広義の東山に含まれます)全体が秋の紅葉の時期が一番のみどころと思われがちです。確かに、紅葉の時期の銀閣寺もきれいです。しかし、銀閣寺が一番映えるのは、新緑の季節です。銀閣寺は全体との調和がみごとです。特に、植物の配置がすばらしく、観音殿と植物を一つの景色としてとらえることが出来ます。これは金閣との大きな差異です。金閣寺はどうしても舎利殿(所謂金閣寺のこと)がどうしても目立ってしまいます。他方、銀閣寺の場合、決してそのようなことにはなりません。
春の様子をビデオでご堪能下さい。
紅葉と銀閣
銀閣寺の紅葉はかなり繊細かつ控えめです。銀閣寺から歩いて20分くらいの所にある永観堂とは真逆の印象を受けます。わぶ・さぶという表現がしっくりくる景色です。永観堂の紅葉は一気に色彩が押し寄せてくるのが特徴です。他方、銀閣寺のものは緑が多いのが特徴です。なんと申しますか、緑の余白がある感じです。
近くなので、一度に見てみるのをおすすめします。また、銀閣寺の参道入口付近にはタクシーが待機しているので、タクシーを利用して詩仙堂や曼殊院に行かれるのも良いでしょう。
雪の銀閣
おそらく、銀閣寺ほど雪が似合う場所は他にはないかと思います。雪の白と木々の緑、灰色の中に、南天が微かに覗きます。雪の日に京都におられるのでしたら、いの一番に行って頂きたいところです。
銀閣寺と五山送り火
銀閣寺の東側にある如意ヶ嶽(大文字山)では、毎年8月16日に「大」の字の送り火が行われます。
盃に写る大文字を見ながら飲み干すと一年間健康に過ごせるといわれます。
銀閣寺特別拝観
毎年、春と秋に特別拝観があります。普段は入れない本堂や東求堂を拝観できます。当日、本堂前で申し込みます。時間と人数に制限があるので注意して下さい。事前予約はできません。例年一時間に一回、約20人程度です。詳細は相国寺ホームページをご覧ください。
与謝蕪村、富岡鉄斎、池大雅、奥田元宗の襖絵、足利義政の木像、釈迦牟尼像などがご覧いただけます。写真は昨年撮影したもので、今年の特別拝観の時間とは異なります。
銀閣寺の基本情報
銀閣寺へのアクセス
JR京都駅から銀閣寺へのアクセス
京都駅前バス停A2のりばから市バス17系統に乗車。5、100系統は混むので利用しない方が無難です。
銀閣寺道バス停で下車。
京阪祇園四条駅、阪急河原町駅から銀閣寺へのアクセス
四条河原町バス停から市バス17系統に乗車。
銀閣寺道バス停で下車。