イントロダクション
概説
龍安寺の石庭は世界で最も有名な枯山水庭園の一つです。にもかかわらず、一体何を意味しているのか、明確にはわかりません。これは、龍安寺が度々火災に見舞われ、古文書の類が焼失しているためです。
そこで、本投稿ではいくつかある仮説のなかから、信憑性が認められるもの、興味深いものから10節を厳選し、検討してみます。通説的見解もありますが、いずれが正しいのかは、以前として謎のままです。
龍安寺の石庭をまだご覧になったことがない方もおられるかとおもいますので、まずはビデオでごらんください。

それでは、出発しま~す
2021年12月6日~2022年3月18日まで工事のため拝観停止

石庭の油土塀の屋根の葺き替え工事のため、2021年12月6日~2022年3月18日まで工事のため拝観停止となります。

枯山水庭園に行きたい人は以下のリンクで各自好きなところにいってみてくれ。

虎の子渡しの庭
これが一番有名な説で、通説と評すべきものです。宗の時代の故事に基づくもので、虎が子を産むと、3頭のうち1頭は彪(ひょう)で、母親がいないと他の子をたべてしまいます。この状況のなか、母虎が子を川の対岸に連れて行くという故事です。言葉で説明すると分かりにくいので、絵を用いて説明します。
大きい虎が母虎、フォークを持っているのが彪、のこりの頭が子虎です。これかた対岸に向かいます。母虎は一度に1頭の子しか対岸に運べません。
母虎は彪を連れて対岸に行きます。
その後、元の岸に戻ります。
その後、1頭の虎を連れてきます。このまま元の岸に戻ると、子虎は食べられてしまいます。
そこで、母虎は彪を連れて帰ります。
今度は、彪を残し、もう一頭の子虎を対岸に連れて行きます。
子虎を残し、母虎は彪を迎えに元の岸にもどります。
最後に彪を連れて、対岸に行きます。これで全員が対岸にわたれました。
虎の子渡しとは、南宋末期~元初期の周密という人が記した『癸辛雜識』にでてくる逸話です。以上のような動作から、「虎の子渡し」とは生計をやりくりする、とか、ものごとを順次手渡すこと、といった意味が生まれます。また、母虎の行為から、物事を思案する、といった意味もうまれます。
これが通説的見解で、龍安寺でもこの説が説明されています。
この説が最初に文献に出てくるのは、儒医の黒川道祐が著した『東西歴覧記』です。ここで、「方丈ノ庭二石九ツアリ、是ヲ虎ノ子渡シト云へル」とあります。原文は国立国会図書館のデジタルコレクションでみることができます。109ページの左上の方にあります。
枯山水庭園の多くは、仏教に関するものが表現されています。例えば、蓬莱山などはよく石で表現されます。これに対し、虎の子渡しは直接仏教には関係がありませんが、南禅寺の方丈南側の庭園などで取り入れられています。

紆余曲折がありましたが、これが現在の通説です。