本投稿では、京都にある南禅寺開山塔、天授庵の紅葉や枯山水庭園などのみどころや歴史、アクセス方法につき御紹介しています。尚、寺院などの拝観時間、拝観料などは変更される可能性があります。
天授庵とは?
天授庵は南禅寺の開山塔
天授庵とは、あまり知られていないかもしれませんが、霊光塔という南禅寺の開山塔として、南禅寺の境内にあります。南禅寺の開山塔というとかなり由緒あるすごいところなのですが、これだけでは何がすごいのか全く伝わらないので、まずは、南禅寺から解説します。
南禅寺の由来
南禅寺の歴史は13世紀に亀山上皇が禅林寺殿という離宮を造営したことに始まります。この禅林寺殿という名称は現在でも南禅寺のすぐ近くにある禅林寺(永観堂のこと)に由来します。禅林寺殿造営後、亀山上皇は妖怪の出没に悩まされていましたが、大明国師という東福寺の住持が念仏を唱えるでもなく、ただ座禅するだけで、妖怪を退散させました。亀山法皇は感じり、自らは法皇となり、禅林寺殿を禅寺(現在の南禅寺)とし、大明国師を開山に奉じました。このように天皇または上皇の発願により建立された寺院を「勅願寺」といいますが、南禅寺は最初の勅願寺に当たります。
また、南禅寺は京都五山の中でも、別格となっています。京都五山をいうのは、京都の禅寺の格付け制度のように見えますが、実際は足利氏の政治的な理由による格付けとしての側面が大く影響しています。南禅寺が「別格」という五山のさらに上の位置にあるのも、足利義満が自らを建立した相国寺を五山の一位にするためです。(それまでは南禅寺が一位でしたが、これは後醍醐天皇が定めたものなので、さすがにひっくり返すわけには行かなかったと思われます。)ちなみに、金閣寺と銀閣寺はこの相国寺の境外塔頭寺院です。
天授庵の開山塔(かいさんとう)
開山塔とはその当該寺院、もしくは宗派の開祖の遺骨を納めた塔のことですが、先ほどの大明国師の開山塔がなかったので、14世紀に光厳上皇の勅許により建立されたのが天授庵です。その後、15世紀になると、南禅寺で起こった大火ならびに応仁の乱により、荒廃し、江戸時代になり、細川幽斎という武将・歌人により復興されます。
このように、本堂など、建物は比較的新しいものですが、かなり長い歴史があることがお判りいただけるかと思います。
天授庵のみどころ
書院と本堂
先程もうしあげました、大明国師の開山塔(霊光塔)として復興されたものです。大明国師の等身大の木像、細川家の位牌所があります。普段は非公開で中に入ることはできませんが、秋の特別拝観の折には拝観できます。
また、本堂内には32面に亘る長谷川等伯の襖絵がありますが、これは非公開になっており、私も見たことはありません。
天授庵本堂前庭園
本堂前には枯山水庭園があります。何年か前に「そうだ、京都行こう」で取り上げられたので記憶にある方も多いかと思います。庭園内には幾何学模様の石畳があり、現代的な印象を受けますが、正門に続くもの(最初の写真の奥にあるもの)は創建当時のものとのことです。
古典的な枯山水庭園にはどの季節でも同じ景色が見えるように、原則的に常緑樹や皐月などが植えられていますが、天授庵の庭園には松、紅葉が植えられています。後ほどご紹介しますた、秋にはライトアップも行われ、紅葉を楽しむことができます。
天授庵本堂前庭園の紅葉とライトアップ
枯山水庭園の紅葉は淡く柔和な感じの赤とオレンジ色が特徴です。庭園からは南禅寺の三門を望むことが出来ます。最後の写真をご覧いただければとおもいますが、庭園に散った紅葉をみるのもおすすめです。
紅葉ランキングでも御紹介しましたが、枯山水庭園のライトアップはここが一番です。暖かい発色がみどころです。
天授庵書院南庭園
書院の南側には池泉回遊式庭園があります。こちらも創建時に作庭されたものです。本堂前庭園とはことなり、かなり伝統的な庭園、といった印象を受けます。
この池は昼間でも少しくらいところに行くと、水鏡がとてもきれいです。
人が池のほとりに近づくと、自然に錦鯉が寄ってきます。
普段は書院の中には入れません。これは玄関から撮影したものです。
天授庵書院南庭園の紅葉とライトアップ
また、ここは青もみじが綺麗なところです。ということは、当然秋の紅葉も期待できるということです。
秋にはこのような塩梅になります。実は、ここは、他の場所に比べれば、比較的空いているのでおすすめです。
先ほど申し上げました、「柔和な」という表現がお分かりいただけるかと思います。やはりこの赤が天授庵の紅葉の最大の特徴となります。
他方、黄色の発色が綺麗なことも特筆すべき点です。
気候のせいかもしれませんが、南禅寺の紅葉も、黄色の発色が綺麗です。
書院南庭園の隠れたみどころは池に散った紅葉の中を泳ぐ錦鯉です。これは他とは一寸違った風情です。錦鯉が泳ぐ庭園はたくさんありますが、ここまで紅葉が散るところはなかなか目にすることはできません。時間を忘れて何時間でも見ていられます。
ライトアップ時には直接庭園に入ることはできません。代わりに、書院の中からみることが出来ます。紅葉のライトアップとともに、背後を緑色で照らしています。この方式は圓徳院などでも取られていますが、紅葉自体の美しさではどうしても、天授庵のものに軍配が上がります。(もちろん圓徳院のものもきれいです。)
2017年 天授庵の紅葉の様子
2017年 11月8日の天授庵
本堂前の枯山水庭園では右半分が赤、左半分がこれからと言ったところです。
ひだり半分はこのようにグラデーションになっています。フルブルームは今週末くらいでしょうか。
他方、書院前庭園は一部では真っ赤ですが、まだまだと言ったところです。
目安としては、右側の紅葉が枯山水庭園のものと連動していると考えていただければと思います。今年は昨年に比べ、約一週間くらい早い気がします。
天授庵基本情報
名称 瑞龍山天授庵
住所 〒606-8435京都市左京区南禅寺福地町
電話 075-771-0744
ウェブサイト なし
拝観時間 8:40~17:00
拝観料 大人・大学生 400円 高校生 300円 小・中学生 200円
所要時間 30分~
天授庵へのアクセス
京都市営地下鉄蹴上駅より徒歩約10分。