円徳院のライトアップの特徴
圓徳院では毎年、紅葉の時期に高台寺と連動してライトアップが行われます。高台寺と異なり、とても空いています。さらに、写経・座禅などの禅を体験できるようになっています。高台寺や清水寺、八坂神社など有名な場所が多々存在する京都一の観光地、東山にある穴場といった様相です。
高台寺の紅葉の記事でお伝えしましたように、ここで高台寺・圓徳院・掌美術館の共通拝観券を購入すれば、高台寺の拝観券購入で並ばずに済みます。
2023年の紅葉ライトアップ
2023年秋の特別夜間拝観(ライトアップ)
- 日程 10月21日(土)~12月10日(日)
- 12月9日(金)、12月10日(土)は中止
- 拝観時間 17:00点灯~22:00閉門(21:30最終受付)
- 拝観料 500円
方丈庭園
入口を入ってすぐの建物を方丈と言います。ここに付随する庭園を方丈庭園といい、もみじが植えられています。高台寺のような混雑はなく、静かに枯山水庭園のライトアップを楽しめます。毎回緑色のライトで照らされるのが特徴です。枯山水庭園のライトアップは意外にも少なく、他には興臨院、天授庵くらいです。天授庵は近年人気で混雑気味、興臨院は紅葉自体が若干遅めとすこし難点(というほどでもありませんが)があります。この点、圓徳院でしたら、高台寺や清水寺に来たついでに立ち寄り、ゆっくりと枯山水庭園を楽しめます。後ほどご紹介しますが、方丈では座禅を体験することもできますので、愉しみが多いところです。
北庭 (旧円徳院庭園) 名勝
伏見城化粧御殿前庭を移築し、スケールダウンしたものです。圓徳院の庭で枯山水庭園として甦りました。伏見城では池泉回遊式庭園でしたので、橋などはそのまま流用されています。移築後、小堀遠州が手を加えたと伝えられます。北書院という、いちばん奥の部屋に接しています。
ここは圓徳院のライトアップ最大のみどころです。障子・襖が外され、部屋全体が解放されています。ここからの眺めは絶品で、柱を枠に見立てて絵画のように楽しむのがよろしいでしょう。また、部屋から庭園が近いので、石組などを縁側から詳らかに観察するのもよいでしょう。お茶を頂ける場合があります。今年の春は拝観料以外に500円がかかり、時間も10時半から16時まででした。
入口に宗旦狐という狐がいます。東山に住み、茶会などにこっそり紛れていたそうです。ちなみに現代の東山ではよく狸に会います。
唐門 需要文化財
拝観券購入の後、写真の門(唐門)をくぐり方丈に入ります。門の先に緑色の光がみえていますね。
くぐった先のパゴダの脇のもみじが毎年綺麗です。
ライトアップと付随するイベントなど
禅体験
圓徳院で毎回、ライトアップ時に禅を体験することが出来ます。以下、毎回おこなわれているものと中心いご紹介します。
座禅
方丈はいてすぐの部屋で行われます。時間制限などはなく、任意になっています。お香が焚いてあります。短時間でもやられてみると良いでしょう。こころが落ち着きます。
写仏
三面大黒天とは、秀吉公が念持仏とした、毘沙門天、弁財天のお顔をお持ちの大黒様です。毘沙門天は勝利、弁財天は財運・技芸上達などのご利益があります。
写経
こちらも筆ペンでなぞります。七仏通誡偈(しちぶつつうかいげ)という、お釈迦さま以前の6人の仏さまとお釈迦様の教えとまとめたお経)です。
御朱印
五体投地というもっとも丁寧な礼拝方法で参拝します。頭、両手、両膝を地面につけて行います。終了後、御朱印がいただけます。
方丈の襖絵
寺院の襖は古いものが多いなか、圓徳院では新品の桃山時代の装飾が体験できます。襖は一枚目が木下育雁作、「松竹梅図襖」、二枚目が、志村正作、「雪月花図襖」となっています。夜みるとご覧のような微かな灯りのなか、金箔が映えます。
長谷川等伯の襖絵
この襖はもともと三玄院という大徳寺の塔頭寺院にあったものですが、明治時代の廃仏毀釈に伴い流失し、現在は圓徳院が所有しています。かつて三玄院住職の春屋宗園に等伯は襖絵をかかせてほしい旨懇願していましたが、修行の場には必要ないと許されませんでした。ある日、等伯は住職が二か月ほど留守中にすることを知ります。この機に乗じ、静止を振り切り、勝手に客殿に乱入、桐門を雪に見立て、一気に冬景色を墨で描き上げました。現在圓徳院に展示されているものは精巧なレプリカです。
毎回ことなるもの
前回は光ファイバーで縫われた仏様を鑑賞できました。
圓徳院とは?
圓徳院は豊臣秀吉の正室、北政所様 a.k.a. ねねちゃんが晩年を過ごした場所を、没後、高台寺の塔頭寺院としたものです。秀吉の没後は、しばらく現在の仙洞御所の辺りに住んでいたようですが、朝廷から院号を賜った後、徳川家康の支援の下、高台寺を建立します。
高台寺の入り口に湖月茶屋という茶店がありますが、高台院湖月心尼という北政所様の院号にちなむものです。
高台寺建立に伴い、秀吉公とともに住んだ伏見城の化粧御殿という建物とその前庭を移築し、寺領地に自らの住まいを建てます。これが現在の圓徳院の起こりです。
関係する場所を整理しますと、豊国廟は秀吉公の公的な廟、高台寺は私的な廟、そして、圓徳院は北政所様の住まいとなります。その後、大名、禅僧、茶人などが足しげく訪れ、文化サロンのようになっていました。北政所様は1624年(寛永元年)に没するまでこの地に住まわれました。
北政所様没後の1632年(寛永9年)、兄の木下利房が当時の高台寺の三江和尚を開基(寺院の開設に際し、経済的支援をした人)とし、木下家の菩提寺として、圓徳院を開山します。
化粧御殿は幕末に焼失してしまいましたが、前庭は現在でも北庭として残っています。
圓徳院へのアクセス
最寄りのバス停は東山安井バス停ですが、道路、並びにバスが混雑するので本サイトでは推奨しません。
JR京都駅から圓徳院へのアクセス
市バス4、5、17系統などに乗り、四条河原町バス停で下車し、徒歩で圓徳院へ。
東山安井バス停を利用する場合は、100、206系統を利用してください。
京阪から圓徳院へのアクセス
祇園四条駅から徒歩で圓徳院へ。
阪急から圓徳院へのアクセス
河原町駅から徒歩で圓徳院へ。
圓徳院の駐車場
高台寺の駐車場を利用できます。圓徳院のみ拝観の場合、1時間、共通拝観券利用の場合2時間無料。
共通拝観券の使い方
圓徳院・高台寺・掌美術館共通拝観券というチケットがあります。これを購入すると三者に拝観できるというものですが、高台寺の混雑回避に有効です。すなわち、高台寺の夜間特別拝観は例外なく大混雑し、入口でチケット購入の列ができます。これを回避すべく、昼間の内に、共通拝観券を入手し、圓徳院か掌美術館のいずれかを拝観しておき、夜になったら高台寺を拝観すると並ばずに済みます。
圓徳院基本情報
正式名称 臨済宗建仁寺派圓徳院
本尊 釈迦如来
住所 〒605-0825 京都市東山区高台寺下河原町530
TEL 075-525-0101
FAX 075-561-2724
拝観時間 10:00~17:00(17:30閉門) ただし特別拝観時は除く
拝観料 大人 500円・中高生 200円
圓徳院・高台寺・掌美術館共通拝観券 900円
ウェブサイト 圓徳院公式ホームページ
所要時間 40分~