概要
本稿では、仁和寺の歴史につき、わかりやすく、簡単、且つ深入りしない程度に詳細に解説申し上げます。合掌
平安時代
初の門跡寺院
「門跡」という語は多分に漏れず、多義的でありますところ、ここでいう「門跡寺院」とは、皇族、若しくは公家が住職を務める寺院を指します。
仁和寺の歴史は光孝天皇が886年に大内山(仁和寺の後ろにある山)の麓お寺の建立を発願したことに始まります。しかし乍ら、光孝天皇は翌年に崩御したため、次の宇多天皇が遺志を継ぎ、888年に金堂の落慶が行われました。
光孝天皇は ”君がため春の野に出でて若菜つむ わが衣手に雪は降りつつ” っていう歌を詠んだ人だよ。
後、897年に、宇多天皇は醍醐天皇に譲位し、落飾(身分の高い人が出家すること)し、宇多法皇として仁和寺の第一世門跡になります。これに伴い、仁和寺が門跡の嚆矢となります。法皇となった宇多天皇は伽藍に「御室」という名称を付した僧坊を建て、起臥の場所としたことに由来し、「御室御所」と呼ばれ、1867年に至るまで皇族・公家が代々住職を務めました。
金閣寺を建てた足利義満の子供もなんかもいたのよ。
現在、霊宝館で参拝することができる御本尊たる阿弥陀如来座像、並びに脇侍たる勢至菩薩立像、観音菩薩立像は創建当時のもので、いずれも国宝に指定されており、春と秋の名宝展で参拝することができます。
菅公腰掛石
北野天満宮の御祭神たる菅原道真は宇多天皇に信頼され重用され、醍醐天皇の御代では右大臣にまで上り詰めました。これをよく思わなかった左大臣の藤原時平の虚言により、大宰府に左遷されます。菅原道真は弁解のため、仁和寺を訪れ、宇多上皇への面会を願い出ます。石に腰かけて宇多上皇を待っていたところ、水が湧き出てきたといわれます。この石は「腰掛石」よばれ、現在、御影堂横の腰掛不動にあり、石の上には不動明王像が祀られています。この不動明王はかつて洪水で一条戻橋のところまで流されてしまいましたが、近隣の人の夢枕に立たれ、仁和寺に帰りたい旨伝えたところ、腰掛石の上に祀られたという逸話があります。
応仁の乱で東軍に攻められ伽藍滅失170年後に再興
その後、平安中期から鎌倉時代まで隆盛を極めましたが、その後、京都市内の他の社寺同様、応仁の乱により荒廃します。1468年には伽藍の大部分を焼失し、衰微します。殷賑の端緒は三代将軍徳川家光公による寄進です。
先程申し上げましたように、門跡寺院は皇族や公家が住職を務めます。故に門跡寺院には下賜された物品や建物が多々あるのが常です。仁和寺は多数の宸翰(天皇の手紙などのこと)を有し、その一部は霊宝館で目にすることができます。
金堂
現在の金堂は1613年に再築された紫宸殿を寛永の年間(1624~45)の御所の建て替えを契機に下賜されたもので、現存する最も古い紫宸殿です。
写真を参照してくれ。なんかフツーのお寺とちとちがうべ?扉が蔀になってんのよ。あと、屋根の下にある垂木っつー木が通常は二段になってんだけど、金堂は三段になってんのよ。
御殿に入るときにくぐる門はかつての台所御門、御影堂は清涼殿の材料で建てられていて、これらもこの時に下賜されたものだよ。
宸殿(白書院)
宸殿とは門跡寺院にしかないもので、儀式などに用いられます。当初は金堂など同時に下賜された御常御殿(天皇の起臥寝食のための建物)を宸殿としていましたが、明治時代の火災により焼失したため、1914年に再建されました。この宸殿には紫宸殿同様、向かって左に右近の橘、右側に左近の桜が植えられたいます。橘は永遠を、桜は儚さを象徴します。
もともとよー、右近は桜じゃなくて、梅だったのよ。宇多天皇は桜が好きだったから桜に植え替えたらしいぜ。で、以降、これが慣行になったんだとさ。
御室桜
遅咲きの桜として有名な御室桜(御室有明)もこのときに植えられました。御室桜の詳細は以下のリンクをご参照ください。
青もみじライトアップもあるぜ
昭和天皇出家計画
終戦間際の1945年、敗戦後の国体・天皇制の維持、並びに昭和天皇の退位/落飾を協議すべく、仁和寺近くの近衛文麿の別荘、陽明文庫、仁和寺に於いて当時の門跡(ここでは仁和寺の住職のこと)らと複数の会合がもたれました。具体的な計画が出来上がっていたようですが、実現することはありませんでした。
尚、宸殿北側にある霊明殿(秘仏たる薬師如来像と歴代天皇の位牌を祀る建物)の扁額は近衛文麿公の絶筆(最後に書いた書)です
仁和寺へのアクセス
JR京都駅から
京都駅前バス停D3乗り場から26系統に乗ると一本でいけますが、平生は推奨していません。(混雑のため)
京都市営地下鉄烏丸線京都駅から国際会館方面行きに乗車。
市営地下鉄烏丸線今出川駅で下車し、3番出口から地上に出て、烏丸今出川バス停から市バス59系統に乗車。
御室仁和寺バス停で下車。
京阪祇園四条駅・阪急河原町駅から
祇園四条(京阪)、河原町(阪急)で下車し、四条河原町バス停から市バス59系統に乗車。
御室仁和寺バス停で下車。
仁和寺基本情報