御本堂(西来堂)
西芳寺の御本堂で阿弥陀如来を祀ります。1969年に村田治郎京都大学名誉教授により設計、再建され、内装や襖絵は堂本印象が手掛けています。写経はここで行います。
刮目してくれ
観音堂
庭園に入ってすぐ左にあります。平安時代の観音菩薩立像を祀ります。西来堂再建まではここが御本堂でした。
観音堂の南側にある池には「夜泊石(よはくせき)」と呼ばれる石が連なっています。これらはかつて存在した瑠璃殿と西来堂を繋ぐ回廊の礎石と解することもできるようです。
夜泊石は蓬莱に向かう船を模したものだよ。瑠璃殿は写真右側のたいらな所にあったみたいだよ。
向上関と上段庭園
向上関は下段庭園から上段庭園への入り口にあたります。上段庭園には夢窓疎石を祀る開山堂たる指東庵、疎石が座禅したとされる座禅石須弥山石組、洪隠山から湧き出る龍淵水などがあります。尚、現在、この地に立ち入ることが叶わないのは、おそらく修行の場としての意義に依るものと考えられます。
特筆すべきは、最古の禅宗庭園の石組とされる洪隠山石組があることです。これは『作庭記』にある典型的な、重森美玲が適示するところの、”前期枯山水”たる枯山水(龍安寺などの枯山水の礎になったもの)です。
原文では、”池もなく鑓水もなきところに、石を立つることあり。これを枯山水となづく。”となってるよ。枯山水については後でヤギさんがまとめるからもう少し待っててね。
また、日本で最初に作られた庭園に於ける龍門瀑もあります。(写真は金閣寺のもの)上段庭園の龍門爆もまた、枯山水で構成されているため、水はなく石だけで表現されています。
龍門爆も神仙蓬莱思想に基づく鶴や亀などと同様に、我が国の庭園ではよく目にすることができます。龍門爆とは、所謂「登竜門」の故事の滝のことで、鯉が三段の滝を上り、龍になる様子を示しますところ、この態様を修行僧が努力の後、観音の智慧を授かる様に例えます。鎌倉時代に南宋から禅がもたらされたことが端緒になっています。
総門
西芳寺の入り口で高浜虚子の「禅寺の 苔を啄む 小鳥哉」という句が刻まれた碑があります。1977年までは参拝者はこの門をくぐり、山門を経て境内に至りましたが、現在はこの先にある衆妙門から参拝します。
山門には「西方精舎」と書かれた扁額が掲げられています。山門は現在でも遠目にみることができますが、この扁額を見ることはできません。
写経(延命十句観音経)
庭園を拝見する前に、御本堂で延命十句観音経(えんめいじっくかんのんきょう)の写経を行います。最も短いお経で、延命や健康に功徳があるとされます。読み方、意義は以下に示します。
- 観世音(かんぜおん) 南無佛(なむぶつ):観世音菩薩に帰依します。
- 与佛有因(よぶつういん)与佛有因(よぶつゆうえん):私と仏とは因縁による紐帯があります。
- 佛法僧縁(ぶっほうそうえん)常楽我浄(じょうらくがじょう):仏法僧、則ち三宝の縁によって、常楽我浄(別途解説申し上げます。)を得ることができます。
- 朝念観世音(ちょうねんかんぜおん)暮念観世音(ぼねんかんぜおん):朝も夕方も観世音菩薩を念じます。
- 念念従心起(ねんねんじゅうしんき)念念不離心(ねんねんふりしん):右の行為は私の心より生ずるものであり、且つ、私の心を離れることはありません。
常楽我浄の意義は簡潔に以下に示します。
- 常徳:無常を知ることにより、平常心を得ることができる。
- 楽徳:苦を知ることにより、苦から逃れることができる。
- 我徳:何人も他者との関わりを否定できないこと。他を利すること。
- 浄徳:清と浄を区別しなしこと。descriminative でないこと。
なんつーの?写経かまして、無心の心になってから庭に行くのよ。
申し込み方法
西芳寺は事前に申し込みをしなければ参拝することができません。公式サイトの事前申込というところから、申し込むことができます。往復はがき、若しくはオンラインから申し込むことが可能ですが、受付期間や冥加料が異なりますのでご留意ください。
往復はがき
- 受付期間 2ヶ月から1週間前(必着)
- 人数の上限 1組5人
- 冥加料 3,000円
- 問い合わせ先 西芳寺
オンライン
- 受付期間 1週間前から前日
- 人数の上限 1組2人
- 冥加料 4,000円
- 問い合わせ先 一般社団法人 西芳会
西芳寺へのアクセス
JR京都駅から
京都駅前バス停C6乗り場から京都バス73系統に乗ると一本でいけますが、所用時間が約1時間程度かかります。混雑時には更に時間がかかりますので、ご注意下さい。
京都バス63/73系統で苔寺・すず虫寺バス停下車徒歩約5分。若しくは阪急嵐山線松尾大社駅から徒歩約30分。