概要
本稿では流鏑馬につき概説の後、葵祭の前儀たる下鴨神社の流鏑馬神事につきご紹介いたします。合掌
流鏑馬とは?
流鏑馬(やぶさめ)とは、日本古来の馬術と弓術が融合した騎射の事を指します。
かんたんに言うと、馬を走らせて馬にのったまま矢を射ることだ。
いつから始まったのかは定かではありませんが、『日本書記』によると、457年に雄略天皇が「騁射(うまゆみ)」云々とあります。
原文では”射〇市邊押磐皇子”、ぎゃあああああ!!!!!
所謂祭に際して行われることもしばしばあり、賀茂祭(葵祭)では騎射(むまゆみ)の禁止令がでるほど盛り上がる行事でした。
奉納されるものと稽古として行われるものがあります。
前者の場合、天下泰平や五穀豊穣などの祈願を目的として行われると評されます。これは以下の理由によります。
則ち、祭とは何らかの災害や疫病などの害悪の原因を御霊や疫神の祟りなどに求め、当該害悪を除去すべく、原因たる御霊や疫神を楽しませて、どこかに送り出す行為と定義されました。後世、これが転じ、御霊や疫神に守ってもらうようになりました。
いずれの場合も、御霊や疫神を楽しませるためになされるため、右が達成された場合に期待される効果、i.e.、災害や疫病などがなくなった状態、を願い、間接的に天下泰平や五穀豊穣が祈願されます。
話すと長くなるから、気になった人は以下のリンクを参照してくれ
他方、稽古の場合、流鏑馬は笠懸、犬追物と並び騎射三物を構成します。笠懸は流鏑馬のように的を射るものであり、犬追物は文理より推認頂ければと思います。
ささらねー矢を使ってたんだけど、あたったらいてーよな。察してくれ
流鏑馬神事於下鴨神社 5月3日
下鴨神社の流鏑馬は葵祭の以下の前儀の一つとして、葵祭が無事に斎行されることを願い行われます。時間は13:00~15:30です。観覧席がありますので、ここからご覧になりたい方は下鴨神社の該当ページをご参照ください。
期日 | 行事名 |
5月1日 | 足汰式 |
5月3日 | 流鏑馬神事 |
5月4日 | 斎王代御禊の儀 |
5月5日 | 歩射神事 |
賀茂競馬 | |
5月7日 | 献花祭 |
5月12日 | 御蔭祭 |
御阿礼神事(非公開) | |
5月14日 | びわ湖堅田供御人行列 鮒奉献祭 |
糺の森(ただすのもり)に設けられた全長500メートルの馬場に100メートル間隔で的が置かれます。矢が的中すれば五穀が実り、諸願が達せられるといわれます。ロープで区切った細長い場所を馬が走ります。砂が盛ってあり、ふかふかしています。。
ご覧いただいておりますように、平安装束(狩衣)を身にまとっています。他の流鏑馬行事にはないみどころの一つです。
これが的です。杉の板で、大きさは対角線が一尺五寸(約45㎝)、馬との距離8尺(約1m80㎝)の場所に設置されます。的の間隔は約100メートルです。
射貫かれた的と矢は授与されます。白い帽子の男性が持っているのが射貫かれた的、その上にある朱色の糸で結わえた白い包みが矢です。はじめの一組目は平安装束(狩衣)で騎乗します。狩衣と言っても袖が長く、このままでは弓を引くことが出来ないので、紐で結わえています。
コマ送りでみるとこうなります。的と的の間を走り抜ける間に矢を取り出し、弓を引き、狙いをつける、と一連の動作を行います。写真で見ているとそれほど難しそうには見えないかもしれませんが、馬はものすごいスピードで走り抜けていきます。騎手は鞍に腰かけているのではなく、中腰で騎乗して、一回走るだけでも、ものすごく疲れるそうです。
聞いたところによると、お馬さんがゆっくり走ってるほうが難しいみてーだ。
しかも、流鏑馬の練習はほとんどが木馬で行い、実際の馬に乗って行うのは年に2、3回程度だそうです。
実際にご覧になって頂いた方がわかりやすいと思いますので、先ほどのビデオでご覧ください。三つの的にすべて中てることを「懐中(かいちゅう)」といいます。「イン、ヨー」と言っているのは陰陽の意味です。近くで聞いていると、矢が的を割る「カーン」という音が心地よく響きます。
走り終えると、騎手は帛(はく。絹のこと。大昔は布が貴重品で、神への捧げ物にもちいられたことに基づく)を受け取ります。この時、鞭で受け取り、肩にかけます。
その後、拝舞という動作をします。
一組目が終わると、今度は武家装束での流鏑馬が行われます。
下鴨神社基本情報
下鴨神社へのアクセス
JR京都駅から
京都市バス4号系統で、下鴨神社前バス停下車。徒歩3分。
京阪から
京阪出町柳駅から徒歩5分。
阪急から
阪急河原町駅で下車し、四条河原町バス停から京都市バス4号系統で、下鴨神社前バス停下車。徒歩3分。