八坂神社の神様とご利益
以下、現在の八坂神社の御祭神、並びにご利益につき解説します。
素戔嗚尊のご利益 中御座
素戔嗚尊は先ほど申し上げましたように、祇園社時代は牛頭天王と習合していました。中御座とは、本殿の中心の部分にあたります。
素戔嗚尊とは、伊奘諾尊と伊弉冊尊の子で天照大神の弟にあたる神様です。狼藉を働いて高天原を追放された後、ヤマタノオロチを退治し、櫛稲田姫と結婚した日本神話上最大の英雄です。このことから、所願成就や恋愛成就のご利益があります。
また、櫛稲田姫と結婚した時、「八雲立つ 出雲八重垣妻籠みに 八重垣つくる その八重垣を」という歌を詠んだことから、和歌の神様としても信仰されています。
さらに、牛頭天王と習合していたことから、厄除・無病息災などのご利益があります。
櫛稲田姫命のご利益 東御座
祇園社時代、櫛稲田姫は牛頭天王の后、頗梨采女(はりさいにょ)と習合していました。頗梨采女は歳徳神として信仰されていました。歳徳神とは陰陽道でその年の福を司る神様で、恵方巻きの恵方は歳徳神の位置する方角のことです。このことから、厄除けや開運のご利益があります。
頗梨采女は本殿の祇園社時代は西側に位置する西御座に祀られていましたが、神仏分離後は東御座に祀られています。尚、東には蛇毒気神(だどくけのかみ)という神様も祀られています。ヤマタノオロチの化身である、又は頗梨采女の子であるなどと言われますが、詳細はよくわかりません。
先ほど申し上げました、素戔嗚尊との経緯から、縁結びや夫婦和合、開運などのご利益があります。
八柱御子神のご利益 西御座
八柱御子神(やはしらのみこがみ)は祇園社時代は牛頭天王と頗梨采女の子である八王子と習合していました。八王子は八将神という方位を司る神様のことを意味していましたが、神仏分離の際、素戔嗚尊の子へと変容しました。以下、ご紹介します
八島篠見神(やじまじぬみのかみ)のご利益
大国主命の祖先とされています。国をたくさん領有する神様です。
五十猛神 (いそたけるのかみ) のご利益
林業の神様です。
大屋比売神 (おおやひめのかみ)のご利益
樹木の神様で、林業や建築の神様です。
抓津比売神 (つまつひめのかみ)のご利益
こちらも樹木の神様です。
大年神 (おおとしのかみ)のご利益
農耕、穀物の神様です。
宇迦之御魂神 (うかのみたまのかみ)のご利益
穀物、農工業の神様です。穀物を司ることから、豊作、転じて商売繁盛のご利益があります。いわゆる「おいなりさん」として信仰されています。伏見稲荷の御祭神も宇迦之御魂神です。
大屋毘古神 (おおやびこのかみ)のご利益
家屋、木の神様です。
須勢理毘売命 (すせりびめのみこと)のご利益
大国主命の妻で国造の神様です。
八坂神社の摂社・末社のご利益
神社には境内に本社とは別に、小さなお社がありますが、これらを摂社、若しくは末社と言います。摂社と末社の間に厳密な区別はありませんが、本社の神様と特別の関係があるお社が摂社、それ以外を末社と呼びます。
位置関係は上の地図でご確認ください。地図上に記載されていないものについては、鳥居マークで示してあります。赤が玉光稲荷社、青が大年社、灰色が太田社、紫が北向蛭子社となっております。地図は拡大してご覧ください。
摂社
疫神社のご利益
素戔嗚尊が旅の途中一夜の宿を求めました。その時、裕福な巨旦将来という人は断りましたが、弟の蘇民将来という人は貧しいながらも素戔嗚尊をもてなしました。素戔嗚尊はお礼に、目印として茅の輪を身につけていれば、子孫を災厄から守ると約束したという逸話があります。祇園祭のちまきなどで見かける、「我蘇民将来子孫也」との文言はこの逸話に基づきます。
疫神社にはこの蘇民将来が祀られており、厄除けや無病息災などのご利益があります。
2018年9月現在、工事のため、本殿に祀られています。
悪王子社のご利益
「悪」とは「悪い」という意味ではなく、「強い」とか英語の”rough”(日本語のラフではありません)のような意味です。素戔嗚尊の荒御魂(あらみたま。神様の荒々しい側面のこと)が祀られています。
末社
大神宮社のご利益
内宮と外宮にわかれ、それぞれ天照大神と豊受大神が祀られています。二見石という石が間におかれています。鳥居のそばには龍穴につながると言われる、御浸水(力水)が湧き出ています。厄除けや開運のご利益があります。
北向蛭子社のご利益
事代主神が祀られています。いわゆる「えびすさん」のことです。八坂神社では「えべっさん」と言われます。国譲りを承諾した神様で、この時、釣りをしていたので、海や漁業の神様として信仰されています。七福神のなかでは唯一の日本の神様です。毎年一月に宵蛭子・蛭子祭が行われます。商売繁盛のご利益があります。
蛭子社の前には「ふれあいえびす像」というえべっさんの像が置いてあります。直に触れてご利益に与ることができます。
美御前社(うつくしごぜんしゃ)のご利益
天照大神と素戔嗚尊が誓約(うけい。占いのこと)を行った時生まれた宗像三女神(市杵島姫命、タギツヒメノミコト、タギリヒメノミコト)を祀ります。素戔嗚尊の潔白の証明となったことから、美の神様として篤く信仰されています。
美容水を呼ばれる湧き水がすぐそばに湧いています。飲用水ではありませんが、肌に数滴つけるだけで、心身ともに美しくなれるご利益があります。他にも航海や交通安全のご利益もあります。
また、市杵島姫命は弁財天と習合していましたので、芸能に関してのご利益もあります。
少なくとも18世紀から現在の場所にあります。神仏習合していた時代から美御前として存在していましたので、ご利益は折り紙つきです。
尚、美の神様ゆえに舞妓さんが参拝してました云々との風説がありますが、すくなくとも、こういう服装でくることは、高度の蓋然性を以って否定されます。
宗像三女神の御前で虚偽の事実は言わないぜ
美御前社前には春になると綺麗な枝垂桜や梅が咲きます。
大国主社のご利益
大国主神(大黒さま。出雲大社の御祭神)、事代主神(えびすさん)、少彦名神(医薬の神様)が祀られています。縁結びのご利益があります。
願掛けうさぎが2月1日に出現しました。詳細は八坂神社恋愛編へ。
悩んでるなら読んどけよ
太田社のご利益
天孫降臨の時、瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)を先導した猿田彦命と天宇受売命(あめのうずめのみこと)が祀られています。先導したことから、良いお導きを得られるというご利益があります。天宇受売命は天照大神が岩戸に隠れたとき、半裸で踊って天照大神を岩戸のなかから誘い出した神様で、舞踊の神様として信仰されています。芸能関係のご利益があります。
玉光稲荷神社のご利益
宇迦之御魂神が祀られていることから、商売繁盛のご利益があります。命婦稲荷社という奥宮があり、おいなりさんのお使いの狐の女官が祀られています。手前が玉光稲荷社、一段高いところにあるのが命婦稲荷社です。
厳島社のご利益
美御前社と同様に、市杵島姫命が祀られています。現在は工事中で、市杵島姫命は本殿に祀られています。
大年社(おおとせしゃ)のご利益
大年神と巷社神(ちまたやしろのかみ)という神様が祀られています。穀物・節分の神様です。ここも美御前社同様、18世紀から現在の場所に存在します。
神馬社のご利益
神馬の人形が祀られています。
祖霊社のご利益
八坂神社関係者などが祀られています。
刃物神社のご利益
アメノマヒトツノカミという刀鍛冶の神様が祀られています。悪縁を断ち切り、良縁を運んでくださるご利益があります。御神体の石があります。(写真の右側のお社です。)
日吉社のご利益
オオヤマクイノカミ、オオモノヌシノカミが祀られていて、方位除けのご利益があります。
五社のご利益
応神天皇などが祀られています。(向かって左側のお社です。)
十社のご利益
伊弉諾命、伊邪那美命などが祀られています。