八坂神社のかるた始め式とは
かるた始め式とは、毎年1月3日に八坂神社で、全日本かるた協会により行われる、かるた(百人一首)の奉納のことです。当日は午後1時より、能舞台上で挙行されます。八坂神社と申しますと、提灯がたくさんある舞台が有名ですが、これは舞殿(ぶでん)という建物です。能舞台は南楼門から入ってすぐ右手にある舞台のことです。祇園祭で岩見神楽が奉納されるところです。
代わりにビデオで見てくれ。
かるた始め式は大まかに言って二つにわけることができます。前半は、十二単や衵(あこめ)に身を包んだかるた姫や、狩衣に身を包んだ童子による、平安時代を想起させる優雅な初手合わせが行われます。(後程ご紹介しますビデオの前半)
後半は打って変わって、かるたクイーンとex-クイーンのエキシビションマッチとなります。(2018年)前半ではかるたは押してでとりますが、後半では払い手でとり、本番さながらの試合となります。(ビデオの後半)
最後はかるた姫の退場です。この時は優雅な王朝絵巻を垣間見ることができます。(ビデオの最後)
ビデオは一通り百人一首につき解説してからゆっくりと見てもらうぜ。そっちのほうが楽しいからな。もちろん早く見たい人は、すっ飛ばして先に見てくれてもいいぜ。
何故八坂神社でかるた始め式が行われるのか
これには八坂神社のご祭神たる、素戔嗚尊の説話が関係しています。皆さんもご存じととおり、高天原を追放された素戔嗚尊は八岐大蛇を退治し、櫛稲田姫命を結婚します。この時、「八雲立つ 出雲八重垣 妻籠に 八重垣作る その八重垣を (やくもたつ いずもやえがき つまごみに やえがきつくる そのやえがきを)」という我が国最古の和歌を詠まれたことにちなみます。
「雲がいっぱいわきでる出雲の地に 雲がいっぱい上ってる オレは妻が住むところに何重にも垣をつくったけど、 ちょうどその八重垣も雲みてえだ」って意味だぜ。
百人一首の歴史
百人一首といえば、日本の方には馴染み深いものかと思われますが、ここで今一度復讐して見ましょう。百人一首は正式には「小倉百人一首」と呼ばれ、藤原定家が宇都宮頼綱という御家人が所有する小倉山の山荘のふすまの装飾のために選んだ歌選が原型になっています。頼綱は天智天皇から順徳天皇までの秀逸な和歌を百首選び、色紙に歌を書き、襖を飾りました。小倉山の山荘(二尊院の上のあたり。)で編纂されたので「小倉」百人一首と呼ばれます。
競技かるたのルール
概観
かるた始め式は、競技かるたのルールに則って行われます。ビデオをご覧になっただけでは今一つなにをやっているのかはっきりしないので、ここで簡単に、ビデオの後半部を見るのに必要な範囲でルールを説明します。
- 一般のかるたは絵札をとりますが、百人一首では絵が描いてある札は読み札で、取り札には字しか書いてありません。しかも下の句だけです。
- 札を相手より早くとるためには、すべての歌を暗記しているのが望ましく、実際は最初の数文字で勝負が決まる。
上記を踏まえながら、実際の試合を概観してみましょう。
- 100枚の絵札のうち、各々25枚を選び、自分の前に並べる。i.e. 50枚を取り札として使う。ただし読み札は100枚つかう。当然、詠まれたにも関わらず自陣(自分の陣地)にも敵陣にもない札がある。
- 競技者は自陣の前に25枚の札を並べる。横87センチの幅の中に、札同士を1センチ開けて三段にならべる。(実際には取りやすいように、左右に振り分けておかれる。)
- 自陣の札がなくなれば、勝ち。取った札の数で勝敗が決まるのではない。相手の札を取った場合、自陣の札を敵陣に送ることができる。(ビデオで「相手の陣に札を送ります」といっているのはこのこと)
決まり字
最初の何文字かが詠まれただけで、どの札かわかる歌がいくつかあります。この時の最初の何文字かを「決まり字」といいます。
ビデオで最初に読まれる歌は「吹くからに 秋の草木のしをるれば むべ山風を 嵐と言うらむ」という、文屋康秀の歌ですが、「ふ」で始まる歌は一首しかないので、一字でどの歌かわかります。この場合は「一字きまり」と言います。(二字なら二字きまり)次の「めぐり逢ひて 見しやそれとも わかぬ間に 雲隠れにし 夜半の月かな」という紫式部の歌もやはり一時決まりです。
挙手
途中、競技者が手を挙げている場面があります。札を並べるとき、札を送るときに読手(札を読む人)に少し待っているよう伝えるために行われます。
八坂神社の簡単な歴史
八坂神社の社伝によりますと、667年に高麗の使節が牛頭天王を社殿に祀ったのが始まりとされています。
牛頭天王というのは祇園精舎(釈迦が説法を行った場所に建てられたお寺)の守護神とされる神仏習合神です。この牛頭天王が祀られていることから、八坂神社の周辺を祇園と呼ぶようになりました。よく八坂神社は「祇園さん」とよばれるとの表現を耳にしますが、これも牛頭天王にちなむものです。
その後、明治時代の神仏分離令を経て、神社になりました。現在では全国各地の八坂神社や素戔嗚尊を祀る神社の総本社としても知られています。
本殿には素戔嗚尊、櫛稲田姫命などが祀られ、縁結び・所願成就などのご利益があります。また境内には、美の神様を祀る美御前社や、縁結びで知られる大国主社などの摂社・末社があります。毎年7月に行われる祇園祭は八坂神社のお祭りです。
八坂神社の歴史、祇園祭につきましては以下のリンクをご参照ください。
八坂神社のアクセス 三が日の混雑回避
鉄道・バス
八坂神社の三が日の参拝者数は約100万人です。当然交通機関は大混雑します。京都市内の観光の際には市バスを利用するのが一般的ですが、かるた始め式当日は鉄道の利用を推奨します。(当サイトでは平生から鉄道の利用を推奨しております。)
最寄り駅は京阪祇園四条駅、阪急河原町駅です。JR京都駅からおこしになる場合は市営地下鉄烏丸線の四条駅で阪急に乗り換えるか、もしくはそのまま徒歩で八坂神社にむかっ得てください。
祇園四条駅・河原町駅から八坂神社までは徒歩約5分、四条駅からは約30くらいです。
自家用車と駐車場
以前は八坂神社参拝用の駐車場が常盤新殿の前にありましたが、現在では普段から利用できません。当然初詣時にも利用できません。近くに円山公園駐車場がありますが、東大路(八坂神社西楼門の前ととおっている大きな道路)が混雑する(大晦日などはそもそも通行できません)のでおすすめしません。公共交通機関かタクシーの利用をお勧めします。
八坂神社基本情報
- 正式名称 八坂神社
- 住所 〒606-0073 京都府京都市東山区祇園北側625
- 電話 075-561-6155
- FAX 075-531-1126
- ウェブサイト 八坂神社公式ホームページ
- 拝観時間 24時間可能
- 拝観料 無料