和泉式部と藤原(平井)保昌の復縁
和泉式部が夫の藤原保昌(やすまさ)と不仲になった時、貴船神社に参拝したところ、夫婦中が再び円満になったという逸話が残っています。このことから、貴船神社には復縁のご利益もあります。新しいご縁も今までのご縁も全て取り持ってくださるということです。参拝の方法を次にご紹介しますので、ぜひ、ご覧ください。一番よろしいのは後述の三社詣です。
ちなみに、藤原保昌というと馴染みがないかとおもいますが、
この人が藤原保昌です。お気づきの方もおられるかと思いますが、祇園祭の保昌山の御神体です。
これが保昌山です。手に持っているのは梅です。なぜ梅をもっているかと申しますと、和泉式部が紫宸殿(内裏の中の即位の礼などの儀式を行う場所)の左近の梅(当時は桜ではなく、梅でした)をとってきて欲しいと頼んだからです。その時の様子が再現されています。保昌は梅を手折ることに成功しますが、帰る時に北面の武士(院御所の警備をしていた武士)に見つかり、矢を射られ、束ねた髪に矢が刺さった状態で命からがら和泉式部の元へ帰ってきます。このエピソードから、恋愛運向上、復縁のご利益があると言われ、ちまきやお守りは早々と売り切れてしまいます。祇園祭にお越しの際は、いの一番にお立ちよりになるとよろしいでしょう。
これが保昌山のお守りだ。幸せになってくれよ。
貴船神社とは?
左京区にある全国の貴船神社の総本社で、龍神を祀ることから、雨ごい、また縁結びの神様としての信仰が厚い神社です。(詳細は後述します。)水の神様であることから、飲食業などの水を取り扱う商売を生業とする人からの信仰も集めています。また、水の神様であることから、水が濁らないようにとの願いから濁ることを避け、「きふね」神社と読みます。(地名は「きぶね」と発します。)
貴船神社の創建は、社伝によると、5世紀に玉依姫命が「黄船」に乗って、大阪から淀川、鴨川、貴船川を上って現在の貴船の地に社を結び、水神を祀ったのが始まりと伝えられます。この「黄船」、もしくは気が生まれる根源としての「気生根」が社名の由来になったと伝えられます。奥宮には玉依姫命が乗ってきたとされる、船を石で囲んだ「舟形石」があります。
もともとは後述いたします、奥宮に本殿がありましたが、11世紀に洪水により流失したため、現在の本宮の場所に再建されました。明治時代までは上賀茂神社の摂社であり、江戸時代までは上賀茂神社の御祭神、賀茂別雷命(かもわけいかづちのかみ)が御祭神として祀られていました。上賀茂神社と並び、平安京遷都以前から存在する神社の一つです。
先ほど、雨ごいと申し上げましたが、古来から、晴れを願うときには白馬、雨を願うときには黒馬を奉納するしきたりがあり、これが現在の絵馬の起源になったと伝えられます。
また、貴船明神が丑の年の丑の月の丑の日の丑の刻に貴船山に降臨したことから、丑の刻に参拝して願いを掛ける、「丑の刻詣り」が行われたことでも有名です。丑の刻詣りと申しますと、呪詛が想起されますが、本来は心願成就の一つの方法です。
さらに、結社に磐長姫命(いわながひめのみこと)が祀られていることから、縁結びの神様としての信仰もあります。
貴船神社 参拝の方法
正門から参拝しましょう
貴船神社にはいくつか鳥居がありますが、これが正門です。実はこれは二の鳥居です。一の鳥居は貴船口駅からすこし下がったところにあります。電車でくる場合、自動的に、(そうよんで差し支えないのであれば)境内に入ってしまっているので、二の鳥居が事実上の一の鳥居のようになってしまっています。
鳥居をくぐって進んでいくわけですが、この時、参道の中央は神様の通り道なので、歩かないようにしましょう(これは諸説あるようですが、脇を通っておけば間違いはないので、中央は歩かないようにしましょう)。
なお、鳥居の先は神域ですので、帽子は脱ぎましょう。
楼門(現在は工事中)をくぐる前にも一礼します。
帰るときも同様に、楼門や鳥居をくぐりますが、その都度、一礼してください。
手水舎(てみずや、ちょうずや)で清めましょう
楼門をくぐったら、左側に手水舎があります。以下の順序で清めます。
1. 一礼。
2. 右手でひしゃくを持ち、水をすくう。
3. 右手でひしゃくを持ったまま、左手に水をかけ、清める。
4. ひしゃくを左手に持ち替え、同様に、右手を清める。
5. ひしゃくを右手に持ち替え、左手に水をため、口をゆすぐ。
6. 左手で口元を覆いながら、水を吐き出す。
7. 3と同様に、左手を清める。
8. 最後にひしゃくを垂直に立て、柄の部分を残りの水で清める。
9. ひしゃくをもとの位置に戻し、一礼。
本殿に向かい参拝
1. お賽銭を入れ、御鈴(みすず)を鳴らし、一礼します。
まず、お賽銭の額ですが、ご縁があるように5円がいいとか、遠縁になるから10円がよくないとか、いろいろなお考えがあるかとおもいますが、お賽銭の趣旨は神様への感謝なので、あまりこだわる必要はないかと思います。お賽銭箱に入れるときは、投げずにそっと入れましょう。
次に、鈴を鳴らします。これは邪気を払うためなので、大きい音を出す必要はありません。行事がある日などは、鈴は鳴らせないようになっていることがあります。
2. 深く二回、拝礼をします。
3. 拍手を二回します。
この時、両手を少しずらして、手で水をすくう時のように、掌にくぼみを作った状態で拍手をしてみてください。いい音がするはずです。
4. 手を合わせて祈ります。
この時、自分の住所や氏名など申し上げたほうが良い、と昨今耳にしますが、名乗ったところで不利益を被ることはないので、申し上げておきましょう。
次に、神様に謝意を申し上げましょう。その後、御願いごとをしましょう。最後に「祓い給え 清め給え 神ながら(かむながら) 守り給え 幸へ(さきはえ)給え」と祝詞を奏上しましょう。
5. もう一度、拝礼します。
6. 軽く後ずさりして、一礼する。
これは神前から退く時の作法なのですが、恐らく、実際にお詣りする時には、後ろに待っている人がいると思いますので、十分ご留意ください。
この後、奥宮、結社にも参拝しますが、同様の方法で行ってください。
ビデオで確認どすえ
貴船神社へのアクセス
注意事項
貴船神社は貴船という、所謂山奥にあります。そこで、車で行きたくなりますが、車で行くと、修羅場が待っています。なぜかと申しますと、駐車場は全部で2つあります。いずれも貴船神社参拝用のもので駐車できる台数は二つ合わせて22台です。周囲にコインパーキングの類はありません。平日ならまだしも、休日は満車になっていることが多く、紅葉や連休などのハイシーズンは止めることが出来ません。
しかも貴船神社付近は幅員が狭く、普通車がなんとかすれ違える程度です。場所によってはすれ違えません。貴船神社付近には旅館や飲食店が立ち並ぶところ、これらの車両が行き来しています。仮に、駐車できても、こんどは帰るのに一苦労です。従って、本サイトでは、高齢者のかたとご一緒するなど特段の事情なき限り、自動車の利用は推奨しません。ハイシーズンには、高度の蓋然性を以て、駐車は不可能です。飲食店の人のお話では、通常、バス停付近から5分くらいで駐車場の辺りまで行けるところ、紅葉の時期には3時間ほどかかったそうです。
念のために所要時間を申し上げますと、JR京都駅から貴船口駅の辺りまで約1時間程度、そこから先は不明、最悪の場合、たどり着けません。(空いていれば、貴船口駅から駐車場まで10分程度です。)
電車とバスにしとけよ
JR京都駅から貴船神社へのアクセス
所要時間 約2時間。料金は市バス230円、叡電420円、京都バス160円。合計810円。
JR京都駅前のバスターミナルA2のりば(宇宙人マークの場所)から市バス4、17系統に乗車。(両者ともA2のりばから出発します。)京都駅前~出町柳駅前バス停までは約4~50分程度。料金は230円。
出町柳駅前バス停で下車、徒歩で叡電出町柳駅へ。必ず鞍馬ゆきに乗ってください。出町柳駅~貴船口駅間は約30分。料金は大人420円。
貴船口駅で下車し、京都バス33系統貴船ゆきに乗車し、貴船バス停で下車。乗車時間は約10分。そこから徒歩約5分。料金は大人160円です。詳細は時刻表をご覧ください。先ほど申し上げましたように、幅員が狭いこと、並びに、混雑することから、特にハイシーズンは時間通りに運行していないことがあります。その場合、徒歩で貴船神社までいくことが出来ます。所要時間は約30分です。