庭園(鏡湖池)
概説
舎利殿前にある池は鏡湖池とよばれます。この池は船で回遊、若しくは舎利殿から見た時場合に効用を発揮するように作られているため、参拝ルートに則り池の周りを歩きながらですと、この後ご紹介する島や石などは見えにくいかもしれません。双眼鏡やカメラ越しにご覧いなるとよいでしょう。
携帯のカメラで拡大してカメラ越しにみてもなんとかなるよ。
鏡湖池は神仙蓬莱思想に基づき設計されています。神仙蓬莱思想とは、古代中国の思想から道教に取り入れられた思想で、不老不死の憧憬の発露と目すべきものです。飛鳥自体に我が国に至り、その後、我が国の文化に多大な影響をもたらしました。庭園も例外ではなく、長寿を象徴するものとして、主に蓬莱山、亀山、鶴島などを具備する様式が現在まで続きます。
後程ご紹介しますが、鏡湖池は神仙蓬莱思想、仏教の世界を表象しつつ、葦原島、淡路島(『記紀』で最初に生み出された島)、富士山を想起せしめる畠山石を配し、我が国を顕出せしめています。
葦原島(蓬莱山)
舎利殿前にある大きな島は葦原島と呼ばれます。豊葦原中国(とよあしはらなかつくに), i.e., 我が国を表し、蓬莱山に擬制されています。この島を金閣側からみると、典型的な水墨画の風景が表現されていることがわかります。水墨画を庭園に作出せしめ、具現化するのは後期枯山水庭園がdevelopされた要因の一つですが、その契機がすでに胚胎されていたと評することができます。
日本神話の世界はこうなってんだけど、真ん中のとこが再現されてんのよ。
三尊石
三尊石とは中尊とその脇侍を左右に配した三尊仏を石組で表現したものです。三尊仏には、釈迦三尊、阿弥陀三尊など様々な態様があります。金閣寺の三尊石が釈迦三尊を表します。一層(一階)の法水院からですと丁度正面にあります。
中尊が釈迦如来、右脇侍(向かって左側)が普賢菩薩、左脇侍(向かって左側)が文殊菩薩だよ。
この三尊石は舎利殿側からみえるようになっています。西芳寺の三尊石に範ととったものですが、右とは異なり、三尊石の手前にある石は台座石と呼ばれます。
西芳寺の三尊石に形がよく似てんだけど、金閣寺のものは西芳寺のものに比べるとオニのようにでけえ。銀閣寺の三尊石も西芳寺を範としてんだけど、こっちはかなり抽象化されてる感じだ。
細川石
蓬莱山上にある傾いている石は室町幕府の管領(かんれい)だった細川頼之から寄進されたものです。
管領っつーのは、簡単にいうと室町幕府で将軍の次に偉れー人のことだ。
夜泊石(よどまりいし)
夜泊石とは、蓬莱山に向かう船が停泊している様と表現したものです。金閣寺のものは、舎利殿から蓬莱山たる葦原島に向かっています。
亀島と鶴島
鏡湖池には亀島が5島、鶴島が3島ありますが、写真は舎利殿前のものです。左が鶴島、右が亀島です。
九山八海
先程の写真の赤い丸で囲んだところにある石です。
九山八海とは、須弥山とそれをとりまく八つの山と九つの海を表します。先述の鶴島の横にあります。古代インドの世界観に端を発する輪廻転生に関する世界観です。
『倶舎論』という部派仏教の解説書によると、風輪、水輪、金輪っつーのの上に須弥山が乗ってんのよ。金輪っつーのが大地で、この一番底の部分、つまり金輪の際までっつーことから、極限みてえな意味で金輪際っつーのよ。
畠山石
先程の細川石同様、管領を務めた畠山氏より寄進されたもので、富士山を模しています。
淡路島
畠山石の奥にあります。
ライトアップ
金閣寺のライトアップはありませんが、売店でライトアップされた舎利殿の絵葉書を購入することができます。
多分絵葉書の撮影のためにライトアップしただけだと思うぜ。