何故アフロなのか
金戒光明寺におわします、所謂「アフロ大仏」さんは螺髪(らほつ)という髪の毛が伸びて、アフロヘアのようになっています。なぜこのようなお姿であれせられますのともうしますと、髪の毛の手入れもせずにひたすら考え込んで修行なさっていたからです。何をお考えになり、何のために修行をなさったのか、さっそく考察してみましょう。合掌。
五劫思惟阿弥陀仏
アフロ大仏さんの名前は五劫思惟阿弥陀仏(ごこうしいあみだぶつ)といいます。
五劫とは、仏教で用いられる時間の単位で、ほぼ無限のような時間です。四十里(メートル法では約157キロメートル)四方の石を、100年に一度、天女の羽衣で拭って、その石が無くなってもまだ、未だ一劫の途中です。また、四十里四方の城をケシの実で満タンにして、百年に一粒ずつとっても、未だ一劫の途中です。「未来永劫」という表現はこの劫から来ています。
要はよー、数えんのもたりーぐれー長えー時間てことだ。
次に、思惟に行きたい所ですが、先に阿弥陀仏の意味を紐解きます。阿弥陀仏とは阿弥陀如来の意味です。阿弥陀信仰の経典の一つ『無量寿経』によると、阿弥陀如来はかつては、宝蔵菩薩という菩薩でした。(菩薩とは、悟りを得たものと、人間の中間のような存在です。)この時、宝蔵菩薩は衆生を救済しようと、四十八の本願を立てられ、長い修行を経、十劫ほど前に阿弥陀如来になられました。(写真は東寺立体曼荼羅の阿弥陀如来像)
「思惟」はこの修行の期間、すなわち、どのようにして衆生を救済するか、思惟しながら修行なさっていたことを表します。この間、剃髪もせずにいたので、あのようなお姿になられたのです。
この姿を捉えた阿弥陀如来像は全国でも16体しかないとのこと。しかも石像は珍しいそうです。金戒光明寺のアフロ大仏さんは江戸時代頃の作と伝えられます。
アフロ大仏さん詳細解説
各部の名称
それでは、次に、アフロさんについて詳しく見ていきましょう。各部の名称は以下の通りになっています。
- 肉髻(にっけい)
- 螺髪(らほつ)
- 白毫(びゃくごう)
- 三道(さんどう)
- 衲衣(のうえ)
- 阿弥陀定印(あみだじょういん。見えないので予想)
- 結跏趺坐
- 蓮華座
1.肉髻(にっけい)
枠で囲った頭頂部の出っ張っている部分を肉髻と呼びます。仏陀が持つ三十二相八十種好というの特徴の一つで、慈悲が深いことを表します。如来(仏陀の尊称)像が具備しています。
2.螺髪(らほつ)
所謂アフロの部分です。写真は東大寺大仏殿の毘盧遮那仏像ですが、通常の螺髪はこのくらいの長さです。「螺」は巻貝のことです。右周りの巻き毛です。これも三十二相八十種好の一つです。
3.白毫(びゃくごう)
アフロさんの眉間にある丸い突起です。こちらは白い巻き毛ですが、説法などで、教化するときに、光を放ち、世界中を照らします。こちらも三十二相八十種好の一つです。
引っ張るとぴよ~んと伸びて、長さは1丈5尺(約4.5メートル)にもなるよ。
4.三道(さんどう)
喉元にある三本のしわのことです。見(事物を正しくみること)、修(見に則り修行)、無学(学ぶものがない状態)という悟りへの段階を表します。
5.衲衣(のうえ)
アフロさんがの服のことです。粗末な布を縫い合わせた服で、釈迦が出家した時の服装を模したものです。如来はすでに悟っているので、聞かざる必要がなく、簡素な服装です。
6.阿弥陀定印
衲衣に隠れているので、断言できませんが、どうやって人を救うか考えている最中なので、おそらく、座禅の時の手の組み方である定印になっているのではないかと思います。
あくまで勝手に予想しているだけです。五劫思惟阿弥陀仏でも区々なので断言はできません。
7.結跏趺坐
右の足を左の足の上に組んだ状態のことです。吉祥坐とも呼ばれます。釈迦が瞑想するときの足の組み方で、阿弥陀如来は原則この組み方です。
こっちも見えないのであくまでも予想だ
8.蓮華座
蓮華は仏教では、この世に現れた仏の慈悲を表すなど、貴ばれる花です。アフロさんはこの蓮華をかたどった台座の上に座られています。
阿弥陀如来とは
アフロさんをご紹介する以上、阿弥陀如来についてもすこしご紹介します。
阿弥陀は、サンスクリット語のAmitabhaとAmitayusを音訳したものです。Amitabhaは「無限のこうみょうを持つ者」、Amitayusは「限りない寿命を持つ者」という意味で、漢訳されると、それぞれ、無量光仏、無量寿仏となります。
先ほどご紹介しましたように、四十八の本願を成就させました。このうちの18番目の本願に於いて、「念仏を唱える者を必ず往生させる」と説かれました。現在は西方極楽浄土で説法なさっているといわれます。
平安時代末になると、浄土教の成熟と末法思想から、阿弥陀如来に迎えに来ていただき、極楽往生することを願うようになります。(写真は瑠璃光院の聖衆来迎図)貴族にとっては摂関政治は崩壊し始め、武士が台頭し、社会は安定を欠きます。
ほんとにこの世がおわるような感じになってきました。
不安が増大し、身分の区別なく、厭世的になります。
貴族は死後もこの世の栄華を保持し、一般の人は死後は楽しい世界に行きたいとおもったんだね。
このような背景があり、阿弥陀信仰は社会に広がっていきました。
こうした時代背景をよく表しているのが平等院鳳凰堂(まだ英語版しかありません。)の 阿弥陀如来像です。この時代ではとにかく救ってもらいたいので、仏像も柔和な表情をしています。
アフロアヒル(立体来迎図)
尚、2021年現在、金戒光明寺の手水舎では、アフロさんがアヒルさんの姿を借り、立体来迎図を顕出されています。
2021年12月現在、パワーアップしています。詳細は以下のリンクをご覧ください。
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