概説
本稿では、清水寺塔頭寺院たる慈心院随求堂の胎内めぐりにつき、その態様、縁結びや子宝のご利益、お守りの発祥などにつき、余すところなく紹介申し上げます。合掌
清水寺につきましては、以下のリンクをご参照下さい。
隋求堂胎内めぐりとは?
概説
随求堂胎内めぐりとは、清水寺の塔頭寺院たる随求堂の地下にある真っ暗な通路の中を降りてゆき、一筋の灯りに照らされた石にたどり着き、御本尊たる大隋求菩薩のご利益に与り、地上に出てきたときにはあたかも生まれ変わったかのような感覚を得る体験です。この一連の過程がまさに胎内めぐりと呼ばれる所以となります。
善光寺でかませる戒壇めぐりと一緒よ。
やり方
- 所要時間 10分程度(混雑状況による)
- 拝観料 100円 (清水寺の拝観料400円は必要ありません。)
- 現在は感染症対策として少人数での実施
- 予約等は必要ありません。
- けっこう混んでます。
随求堂向かって左側に入口があります。ここから地下に入っていきます。石に至る通路は人ひとりが通れるくらいの幅です。灯りは時折見える警報装置か何かのパイロットライト以外は全くなく、真っ暗です。通路には手すり替わりの巨大な数珠がありますので、これを頼りにすすんでいきます。道が湾曲していて、一筋縄ではいきません。周りは全く見えないので、前後の人にぶつかったりしながら進んでいきます。
兎に角、自分がどこにいるのか全くわからねー感覚よ。前の人にぶつかるし、後ろの人はぶつかってくるから、謝ったり謝られたりしながら進んでいくことになるぜ。まー、お互い様ってことよ。
しかしよー、平生はなんか人間って調子ぶっこいて万能な気がしてるけど、胎内めぐりかましてるとそんなことねーっつーのがわかるのよ。昔の人が自然や自然現象に対し畏怖の念を抱いてたのがよくわかるぜ。
しばらく進むと、先ほど申し上げた石が見えます。この石には「はら(上の写真)」という梵字が彫られています。この梵字は御本尊たる大随求菩薩を表わします。この石に合掌しつつ、お願いごとを一つだけし、外に向かって暗闇の中を歩いていきます。
大随求菩薩
大隋求菩薩とは、密教の『大随求陀羅尼経』を具体化した菩薩です。この写真は随求塔といい、随求堂の正面にあり、『随求小呪(一切如来随身真言)』が刻まれています。「五根(五感)清浄な衆生を保護する者、衆生の求に随って成就される尊い者よ」のような意味です。
簡単にいうと、求に随って願いを叶えてくださるってことだよ。
この様に大隋求菩薩には観音様のように数多のご利益がありますが、随求堂では縁結び、子宝のご利益が深く信仰されてきました。秀吉公は男子出生を清水寺大隋求菩薩に祈願したところ、秀頼公を授かったため、慈心院に多大な寄進をしています。
脇侍は毘沙門天立像と吉祥天立像(夫婦)で、堂内には、十一面観世音菩薩像(清水寺ではとりわけ子宝の功徳が高名)、大聖歓喜天(夫婦和合・子授け)、大国主命(子授け・安産)、神功皇后(子授け・安産)などの神仏が奉祀されています。
尚、随求塔の上部には金剛界の四仏たる阿閦如来(東)、阿弥陀如来(西)、宝生如来(南)、不空成就如来(北)を表す梵字が刻まれています。
東寺の五重塔と同じだ。清水寺は法相宗と真言宗が兼学だったからな。
お守りの起源
先ほど申し上げました『大随求陀羅尼経』という経典は書き写して所持しているだけで無限のご利益を得ることができるとされています。江戸時代に慈心院(現在残っているのは随求堂のみ)を復興した住職が護摩供(密教の修法)に際してお守り札を授与したところ、これが大流行し今日のお守りのはじめたなったと伝えられます。
随求堂へのアクセス
京阪: 祇園四条、もしくは清水五条駅
阪急:河原町駅
市バス:四条河原町、もしくは祇園バス停
清水寺の境内にありますので、清水寺へのアクセスと同じです。2023年現在、清水寺は大混雑しています。京都駅からはバスを利用せずに京阪の清水五条駅などをご利用ください。詳細は以下のリンクをご覧下さい。