梅と日本
梅はもともと日本にあったわけではなく、奈良時代に中国から伝わったと考えられています。奈良時代に「花」と言えば、梅の事をさしました。日本最古の歌集、万葉集でも数多くの歌が詠まれています。同様に日本最古の漢詩集、懐風藻にも梅の歌があります。
このように、日本原産ではありませんが、古来より日本人にとって身近な植物です。
気候の影響を受けやすいので、年によって前後しますが、京都市内の梅の主な開花時期は例年、2月上旬頃からで、2月下旬頃に見頃を迎えます(実際にはいろいろな場所で1月から咲き始めています)。京都市内で特に有名なのが北野天満宮、二条城、龍安寺の梅です。
北野天満宮と梅の関係 飛梅伝説
北野天満宮の御祭神、菅原道真が太宰府へ左遷されるとき、庭木のうち、日頃からとりわけ愛でてきた梅、桜、松の木との別れを惜みました。
菅原道真が太宰府に左遷されると、桜の木は枯れてしまいました。一方、梅と松は道真のあとを追い飛んで行きました。松は途中で力尽き、現在の神戸市の辺りに根を下ろしました。
梅だけは、一夜のうちに、太宰府まで飛んでいきました。この時の梅は現在の太宰府天満宮の御神木になったと伝えられています。これが飛梅伝説です。
菅原道真が梅との惜別の情を詠んだのが、「東風吹かば にほひをこせよ 梅花 主なしとて 春を忘るな」という有名な歌です。現代語に訳せば、「私がいなくなっても、春の訪れを忘れずに香ばしい花を咲かせてくれ」というような意味です。
この伝説にちなみ、全国の天満宮には梅が植えられています。北野天満宮の境内には約50種、1500本の梅が植えられ、御神紋は梅紋(星梅鉢)になっています。
梅花祭と梅花祭野点大茶湯
梅苑の公開期間中、御祭神の菅原道真の命日の2月25日、午前10時頃から本殿で梅花祭が行われます。ここで供された神饌(筒状の紙に盛ったご飯。男女の厄年にちなみ42本の白梅と33本の紅梅がさしてある。)に使われた玄米が厄除け玄米(初穂料100円)として授与されます。
同日、三光門前の広場で午前10時から午後3時まで、梅花祭野点大茶湯(ばいかさいのだておおちゃゆ)が開催されます。ここでは上七軒の芸妓さんによりお茶が振る舞われます。この野点(野外のお茶会の事)が豊臣秀吉が北野天満宮で催した「北野大茶会(きたのだいさのえ)」にちなみます
長五郎餅
北野天満宮の梅苑のきたら是非頂きたいのが、長五郎餅本舗さんの長五郎餅です。本店は北野天満宮から少し下がったところにありますが、境内の茶店は梅苑の期間中は週末に営業しています。
この長五郎餅とは豊臣秀吉が北野天満宮で開催した北野大茶会でも供された名品です。お味の方はと申しますと、大変上品な甘さです。人によってはあっさりしていると感じるかもしれません。然し乍、上善如水ともうしますように、決して、味覚が競う、反駁するということがありません。
茶店(本店でも頂けます)で頂けるのは、煎茶セット380円・抹茶セット580円です。抹茶セットがおすすめです。その場で点ててもらえます。お店の中には火鉢がありとても暖かく過ごせます。
詳細は長五郎餅本舗ホームページでご確認下さい。
次に河津桜をいっしょにみるおすすめコースを紹介するよ。