概説
現在、八坂神社舞殿の横には「祝 国宝 本殿一棟 重要文化財 摂社末社社殿他建造物 二十六棟 以上指定されることになりました」と記載された看板があります。これは去る10月16日の文化審議会の答申に依拠するものです。
八坂さんのサイトによると、詳細は以下の通り(以下、サイトより抜粋):
”現在の社殿は承応3年(1654)に4代将軍徳川家綱により建立されたもので、拝殿と本殿を大屋根で覆った特殊な建築様式から「祇園造」と呼ばれております。
平安時代の建築の空間構成を伝え、中世の信仰儀礼と建物の関係を如実に示しており、建築史上、非常に高い価値があるとされました。
また長きに亘り氏子と共に祇園祭を継承してきたことから文化史的意義も認められました。”
今後、官報での告示を経て、2020年度の国宝に指定されることとなります。
本稿ではこれを祝し、国宝となる運びになった御本殿につきご紹介したいと思います。
2020年12月23日を以て、正式に指定されました。
この記事は英語版があります。
祇園造の構造:中世の信仰儀礼と建物の関係
『指定文化財総合目録建造物篇』によりますと、八坂神社の構造は”祇園造”とあります。祇園造とは、八坂神社独自のもので、本殿と礼堂を合体させて一つにしたことから生じたものです。次の項でご紹介しますが、八坂神社はすくなくとも9世紀くらいから存在し、13世紀頃には現在の御本殿とほぼ同じ構造であったと考えられます。これも次の項で詳しくご紹介しますが、935年の太政官符によりますと、当時は本堂と礼堂がそれぞれ一棟ずつありました。これらの機能は現在は御本殿に集約されています。恐らくその名残として、現在の八坂神社の御本殿には屋根の上にはもう一つ屋根があります。すなわち、本堂に相当する内内陣の上に現在外から見える屋根があります。
良い写真がなかったので、ビデオを張らせて頂きます。をけら火を持っている人がいるところを向拝といいます。
丁度矢印の柱のところに、立っておられます。格子戸をご覧になれるかと思いますが、この奥が礼堂(梁行二間)となっていて、さらにその奥が御本殿になります。御本殿の一段高くなった所が内内陣です。
正面からみると、本殿の中に扉が三つ見えます。扉があるところが内内陣で、御祭神が祀られていますよ。
内内陣の下には龍穴という穴があり、水を湛えています。(現在は漆喰で蓋がしてあります。)
『重要文化財八坂神社本殿修理工事報告書』にかいてあったぜ。
神泉苑とつながっているそうです。
内内陣には御祭神である素戔嗚尊、櫛稲田姫、八柱の御子神が祀られています。この本堂と礼堂が一つになったことが、”中世の信仰儀礼と建物の関係”を示しているということかと思います。
平安時代の建築の空間構成:いつ建てられたのか?
八坂神社の創祀については、諸説あります。八坂神社の社殿によれば、斉明天皇2年、有力説によれば貞観18年(1867年)、常住寺十禅師円如により勧進されたとされます。この時の八坂神社の名称は「観慶寺」というお寺で、祇園社、祇園感神院などと称されていました。(ここは厳密ではありませんが、話すと長くなるので手短にこう表現します。)現在は神社ですが、明治時代に神仏分離令が出されるまでの神仏習合下では仏教寺院でした。
今でも手水舎には感神院ってかいてあるよ。
この時、どのような建物があったのかは詳しくはわかりませんが、承平5年(935年)の太政官符に記載があります。
太政官符ってのは、簡単に言うと、律令制の下、他の官庁に対してものすげえ法的効力がある通達みてえなもんだ。
これによると、”神殿五間檜皮葺一宇 天神、婆利女、八王子。”とあります。神殿(本殿)は五間で屋根が檜皮葺、(武塔)天神と婆利女と八王子という神様が祀られていたという意味です。
五間とは30尺の意味ではなく、柱と柱の間が五つあるという意味です。詳しく知りたい方は通し矢の2ページ目をご覧下さい。武塔天神は蘇民将来の逸話と関係する、神仏習合神、婆利女(はりめ/ぱりめ)はその后、八王子はその子となります。これは祇園祭の本義と関係しますので、興味がおありでしたら、祇園祭の意義をご参照ください。
この後、火災やその他の事情により、本殿は変遷したようです。文献上明確になるのは、承久2年(1220年)にあった火災の翌日に書かれた実況見分の様子です。これによると、宝殿(本殿)は四面が五間あり、庇がついていて、さらにその庇にも庇がついていて、前面階隠、後方に閼伽棚がある旨記載されています。これが現在の御本殿と合致します。この時以来、火災などに起因し、建て替えれれたいますが、ほとんど変化ありません。これが ”平安時代の建築の空間構成を伝え”ているということを意味します。
それじゃいっちょ乱入してみんべえか?
特別拝観
現在10:00から15:00まで一時間刻みで御本殿内部を拝観することができます(ただし12:00はなし)。受付は各回開始10分前から。初穂料は高校生以上1,000円、小中学生500円。
現在は開催されていません。
八坂神社へのアクセス
三密を避けるため、市バスの利用は避け、京阪祇園四条駅、阪急京都河原町駅から徒歩でいくことをお勧めします。