この記事の構成
- このページ 平成~令和の大改修概説、2020年12月の舞台・屋根の工事終了の様子、舞台の張替えのやり方、清水の舞台と床の歴史、舞台の構造、檜皮葺の構造・工事のやり方、本堂屋根の葺き替え工事のやり方、
- 2ページ目 関連記事、11月、10月、9月、8月の床の工事の様子
- 3ページ目 6、7月の床の工事の様子
- 4ページ目 屋根の葺替工事の完成、2020年1~2月
- 5ページ目 2019年までの工事の様子、他の工事、清水寺の歴史、アクセスなど
このページのもくじはこの下にあります。
平成~令和の大改修 概説
木造の寺院などは一定の期間に於いて修復、改修が要求されます。これは気候や日光の影響によるものです。清水寺も例外ではなく、一定の間隔をあけて改修工事がおこなわれてきました。直近のものは50年前に行われました。清水寺は約15の建造物から成りますが、2008年より、所謂「平成の大改修」の一環として、いくつかの建物が修復されてきました。阿弥陀堂、釈迦堂などの修復が終わり、2020年3月に本堂の屋根の葺き替え工事は終了し、2017年から約3年間、本堂を覆っていた巨大な足場はほぼ撤去されました。
その後、5月から舞台の工事が開始され、立ち入り制限がなされていましたが、12月3日午後に解除され、足かけ12年に及んだ「平成の大改修」が終了しました。尚、落慶法要は新型コロナウイルスの流行に鑑み、令和3年/2021年秋以降を予定しているとのことです。合掌。
ふつうに拝観できま~す。清水寺につきましては、以下のリンクをご参照くださ~い。
清水寺はバリアフリーになってるよ。一枚目の写真のとこまで来たら、真っ直ぐ進まずに、左の方にすすんでいくと地面に車いすマークとやじるしが書いてあるからそれにそって進むと二枚目の写真の轟門の所にでるよ。もちろん中もバリアフリーだよ。
完成時はこんな感じだったぜ。ヴァーチャル闖入してみてくれ。
工事終了後の様子です。
2023年最新情報
雪
2022年
10月
10月23日までライトアップが行われます。ただし、参拝できるのは10月1日のみです。
他の日は外からみるだけだよ。
9月
修学旅行生のかたが多く見られます。
6月
引き続き混雑しています。以下を参照の上、混雑を回避なさってください。
5月
現在、修学旅行生の方がふえており、平日でも混雑気味です。
尚、轟門をくぐってすぐのとこにおわしますのは、大黒さんです。
知らない人が多いみたいなんで、書いておくぜ。
4月
桜対策まとめました。2022年は開花が遅れ気味でしたが、3月31日現在、ほぼ満開です。ライトアップには間に合います。詳細はこちらをご参照ください。また、随求堂で3年ぶりに胎内巡りが再開されました。
2月
2月20日までの期間、京都市内でもまん防(まん延防止等重点措置)が適用されます。詳細は京都市のサイトをご参照ください。
mais les cordes…
察してくれ
これに伴い、清水寺も現在閑散としています。この傾向はまん防解除まで続くものと予見されます。市内の混雑状況は以下のリンクをご参照ください。
清水寺が混雑していた場合の対処方
2022年9月現在、こちらのルートを推奨します。
清水寺が混雑している場合、バスではなくJR奈良線で東福寺まで行き、京阪に乗り換え、清水五条駅から五条通、茶碗坂(地図上赤い線)経由でいくのが無難です。
ここが赤い宇宙人のとこだ。赤い矢印の方向に進むと茶碗坂だ
100番台のバスは運休中だから気をつけてね。
2020年12月3日工事終了
概説
本稿は完成時の様子から遡って工事の様子をご覧いただけます。時系列でご覧になりたい方はヘビ文字版をご覧下さい。
12月4日
去る12月3日、ついに12年間に及んだ清水寺の工事、所謂「平成(~令和)の大改修」が終わりました。写真の白い部分が今回葺き替えられた舞台です。
一枚目が12月4日、二枚目が今年4月の様子です。使用した板は約150枚、舞台の広さは後ほど再度ご紹介しますが、畳百畳(約190平米)、横が約18メートル、縦が約10メートルです。
今回、擬宝珠も新調されました。特筆すべきは、高欄を支える部分の意匠が新たになっていることです。表面は銅板で覆われています。
檜のいい匂いがしたぜ。開放後最初の朝だしな。
2020年の紅葉は残念なところが多かった中、御本尊たる千手観音様がまします補陀落浄土に擬制される錦雲渓からの眺めはご覧の通り、例年とほぼ変わりません。あたかも舞台の完成をまっていたかのようです。
清水寺の御本尊と申しますと、夜ごと龍に姿をかえ、音羽の滝を訪れるとの言い伝えがあり、ライトアップの時の青い光線はこの龍を表していますし、青龍会もこれに則ります。
今朝、舞台の上から西の空をながめておりましたところ、龍のような形が山の端にかかっていました。
瑞祥だべ、こりゃよー。もうこっちのもんだべ。
次回の工事は5、60年後となります。皆様が再びご覧になれること、並びに皆様の御健勝を祈念申し上げつつ、筆をおかせて頂きます。合掌
舞台の張替え工事のやり方
2020年の2月に檜皮葺屋根の葺き替え工事が完了し、約3年ぶりに御本堂を拝見できる運びとなり、次いで2020年5月下旬から舞台の床の張替え工事が開始されました。
まずは工事前の様子をご覧ください。舞台の床は三段になっています。今回の工事ではこの3つの部分の床が張替えられます。舞台の広さは畳百畳(約190平米)、横が約18メートル、縦が約10メートルです。床板は木曽産、天竜産の檜が用いられていました。
観音様に奉納する際の舞台ですので、「檜舞台」の語源になったともいわれます。
一番気合を入れたいところだからね
床板は平均5,5メートルの長さで幅約30~60センチ、厚さは約5センチくらいです。舞台の床は単に板が敷いてあるようにみえますが、もう少し複雑な構造をしています。
後で説明するからもう少し待ってくれ
工事はまず舞台を正面から見て左側から始まりました。円で囲んだ所が当時開放されていた場所です。
最初に牛若丸がひらりと乗ったり、蹴鞠名人がその上で蹴鞠をしたヤキを入れられた高欄干が取り除かれました。
次に床板がはがされました。梁と桁が露出していますが、緑青のようなものが見え、銅板がかぶせてあることがわかります。これはおそらく補強と腐食防止のためです。
この銅板を張り替え、床板を張ります。
直接のせるのではなく、桁の上に板を渡し、その上に板を引き、さらにその上に檜の板を張ります。
二枚目の写真で床の高さをご確認下さい。二枚目は左側に古い床が残っていて、シートが掛けられた部分が新しく板を張った部分です。高さが同じになっています。一枚目の写真と比べると床部分が高くなっているのがお分かりになるかと思います。
現在は舞台全体の張替えがすみ、シートが掛けられた状態です。9月からこの状態ですので、おそらくなじませているのかと思われます。
尚、今回の工事は床だけで、柱などの交換は約400年後になります。現在の清水寺の舞台は1633年に樹齢約400年の欅を用いて作られました。柱として用いる場合、樹齢の2倍ほどの年月に耐えることができます。故に今から400年後となるわけです。これに備えるべく、2000年に33年に一度の御本尊たる十一面千手観音像の御開帳が行われましたが、これに際し、柱として供すべく、約3,000本の欅が植樹されました。
400年後に柱として使えば、そこから800年間柱として頑張ってくれますね。
清水の舞台と床の歴史
清水寺の舞台ができたのはおそらく11~12世紀頃で、『清水寺参詣曼荼羅』から推認すると、応仁の乱の再興後に現在とほぼ同じ規模になったと思われます。現在の舞台は1633年に徳川家光公の寄進によるものです。ここから飛び降り願掛けと呼ばれる願掛けが末法思想とともに萌芽しましたが、江戸時代には大流行しました。飛び降りた後無事ならば観音様の慈悲により願いが成就、そうでなければ補陀落浄土に行けるというものです。
舞台の構造
総面積は約190平方メートル東西に約18メートル、南北に約10メートルの長さになっています。床面は総檜張りです。高さは約13メートルです。
舞台は緑の部分です。本堂は「懸造」という工法により作られ、合計78本の柱が支えています。
柱は欅でできています。太さは一番太いもので周囲が約2.3メートル、長さは約12メートルで丸切石と呼ばれる台座に載っています。
今回の工事では柱には手が入らないと思われますが、2013年に腐食した柱の下部が交換されています。
柱と貫は釘を使わず、くさびで止めてあります。貫には腐食防止の屋根がついています。
本堂屋根の葺き替え工事のやり方
檜皮葺屋根 Hiwadabuki
先ほど申し上げましたように、屋根の葺替工事は終了しましたが、工事のやり方をここでご紹介します。巨大な檻のようなものに包まれていますが、これは素屋根と呼ばれます。本堂の屋根は檜皮葺という工法により葺かれています。檜皮葺とはヒノキの表皮を細長く切ったものを重なて屋根を作るという工法です。多くの寺社仏閣の屋根はこの工法によっているので、馴染み深いものかとおもいますが、どのような構造になっているかは以外にも知られていないかもしれません。そこで、檜皮葺とはどのようなものか、見てみましょう。
檜皮葺屋根の構造 The construction
写真は清水寺の馬駐というところにある本堂の屋根の模型です。清水坂を上っていくと、仁王門がみえますが、その手前にある、かつては馬を繋いでおいた場所です。ご覧のように、ヒノキの表皮を重なて何層にも重ねたものが屋根の上に固定されています。
何故ヒノキなのか Why cypress?
ヒノキは頑強なため、日本の建築資材としてよく用いられ、日本神話でも言及されています。奈良の法隆寺は7世紀に建てられた世界最古の木造建築物ですが、ヒノキで作られています。樹皮には油分が含まれ水に強く、屋根に用いるには適しています。さらに、屋根葺いた場合、他の素材に比べて格段に軽くすることができます。例えば、一平米あたり、檜皮葺屋根ですと、約50キロ程度ですが、同じ面積の瓦屋根では5倍程度の重量になります。ヒ
ヒノキの樹皮を剥ぐ Bark the tree
原皮師と呼ばれる職人さんがヒノキの樹皮を剥がします。樹皮を採取する木は樹齢70年以上のものが選ばれます。表面を剥がすので、木を痛めてしまうことはありません。へらのようなものを根本のあたりから差し込んでいって、上に向かって剥がしていきます。木に登る時には、縄のみを用いて登っていきます。いったん樹皮を剥がしたものは約7~8年ほどで黒皮と呼ばれる層を形成し、再び利用できるようになります。
屋根を葺く Put on Hiwada on the roof
注意:以下の写真は清水寺で撮影したものではありません。
檜皮がない屋根はこのような状態になっています。
剥がされた檜皮は細長い台形に形成されます。その後、檜皮葺師と呼ばれる職人さんが水に濡らし、束ねて板状にします。
板状になった檜皮を口に含んだ竹の釘で屋根に打ち付けます。打ち付けるときは、檜皮を少しずつずらします。
打ち付けられた檜皮はこのようになっています。
この写真は平成の大改修開始前の本堂の様子です。屋根の上に緑色の部分がありますが、これは苔です。檜皮葺屋根は苔や草が生えることにより、さらに頑強になります。
柱と貫は釘を使わず、くさびで止めてあります。貫には腐食防止の屋根がついています。
清水寺につき、さらに詳しくお知りになりたい方は次章のリンクを御参照ください。