この記事の構成
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#9 妙蓮寺
十六羅漢石庭
妙蓮寺はご存知ない方が多いかと存じます。西陣にある本門法華宗のお寺で隠れた桜の名所で、10月頃から先始め4月頃に満開になる「御会式桜(おえしきざくら)」などで知られています。境内には赤穂浪士遺髪墓があり、本阿弥光悦写筆の立正安国論(重要文化財)なや長谷川派の障壁画を有します。
庭園には16個の石が配置され、十六羅漢を表しています。妙蓮寺にある解説によると、白砂が宇宙を、石が地湧する菩薩を表し、同時に宇宙の真理と個人の小宇宙が交響する様を表現し、島の周りの白砂の波紋はその交響の証左でるとのこと。
作庭は小堀遠州の弟子と伝えられる玉淵坊によります。左側の奥の石は「牛臥石(がぎゅうせき)」と呼ばれます。かつて玉淵坊か妙蓮寺の僧(記憶が曖昧)が伏見城の秀吉公を訪ねたとき、褒美としてこの石を賜ったところ、両者のいずれかが妙蓮寺に帰ってくると、すでに庭園に置いてあったといういわれがあります。
2019年春には上京区の「お寺まるごと美術館プロジェクト」の一環として、初のライトアップが行われました。
行くしかねーべここはよー
妙蓮寺へのアクセス
市バス堀川寺ノ内バス停から徒歩約5分。
妙蓮寺基本情報
#10 天授庵
天授庵も紅葉の時期を除けば、あまり有名ではないようで、平生はほとんど参拝されるかたはいません。私は足しげく通いますが、いつ行っても静かなところです。本堂前庭園は江戸時代、小堀遠州の作です。苔の上に置かれた踏み石が目を引きます。門に向かう踏み石は創建当時、14世紀のものと伝えられます。南禅寺の開山堂として創建されました。
庭園には常緑樹たる松が植えてありますが、その背後には紅葉がたくさん植えられています。この紅葉はとても柔和な印象を与えます。この紅葉がなければ、おそらく、緊迫感が強すぎる庭園になるでしょう。
この庭園の特筆すべき点は、北を向いていることです。故に日陰になっていることが多く、苔も繁茂していて、力強さを感じることができます。枯山水では陰影も重要な要素ですが、これを余すところなく楽しめます。
これは方丈の入り口から方丈前の池泉回遊式庭園を望んだところです。ここでも額縁庭園を楽しむことができます。尚、紅葉ライトアップなどの特別の場合を除き、方丈に入ることはできません。
枯山水庭園のライトアップはなかなかございません。興臨院、高台寺、圓徳院、天授庵くらいでしょうか。昔は穴場でしたが、近年はかなり人気の場所となっています。先ほども申し上げましたが、とてもライトアップ時も柔和な印象を与える紅葉です。
折角ですので、雪の天授庵をお楽しみください。
天授庵の詳細は上記のリンクを御参照ください。
枯山水に限らず、総合的に見て屈指のおすすめスポットです。
天授庵へのアクセス
京都市営地下鉄蹴上駅より徒歩約10分。
天授庵基本情報
別格 西芳寺
西芳寺の庭園は上段庭園と下段庭園に分かれます。現在拝観可能なのは、下段庭園のみです。上段庭園には現在我々が想起する「枯山水」に発展する前の「枯山水」の典型例をみることができます。
『作庭記』にある”池もなく鑓水もなき所に、石をたつることあり。これを枯山水となづく。”っつーアレな。写真は下段庭園の池の畔にある石組みなんだけど、だいたいこんな塩梅よ。重森美玲がいうところの「前期枯山水」だ。龍安寺のみてーのが「後期枯山水」な。詳細は以下のリンクを参照してみてくれ。
seriousな人は必ず行ってね。
西芳寺へのアクセス
京都駅前バス停C6乗り場から京都バス73系統に乗ると一本でいけますが、所用時間が約1時間程度かかります。混雑時には更に時間がかかりますので、ご注意下さい。
京都バス63/73系統で苔寺・すず虫寺バス停下車徒歩約5分。若しくは阪急嵐山線松尾大社駅から徒歩約30分。